噴火予知とは

カテゴリ: 火山

読み: ふんかよち

 噴火予知とは、火山噴火災害を軽減するために、噴火の時期・場所・規模・様式・期間の5つの要素を、あらかじめある程度予測することを言う。地震予知と比べれば近年、噴火予知の確率は高められているとされるが、現実にはいまだ困難である。

 国は噴火予知について、1974年に火山噴火予知連絡会を設置、以来、全国の火山活動について総合的に検討を行い、火山噴火などの異常時には連絡会を開催して火山活動について検討し、必要な場合は統一見解を発表するなどして防災対応活動を行っている(現会長:藤井敏嗣・東京大学名誉教授。2013年6月18日現在)。

 火山噴火は地下のマグマが地表に接近することによって起こることから、地震活動や地殻変動など噴火の前兆となる現象が発生する。この前兆現象をとらえると噴火の直前予知が可能となるが、前兆をとらえても直後に噴火が始まるなど、予知が防災上の意味をなさない場合も少なくない。
 これまでのわが国での予知の例は数日前から数時間前がほとんどで、何週間も前から噴火を予知した例はない。また、噴火の前兆と考えられる現象をとらえても噴火しないこともある。

 常時観測が行われれば、火山が活発化して噴火の可能性が高まっていることはとらえられる。また、同じような噴火を繰り返す火山では、地殻変動や地震活動、火山ガスなどのデータから、数時間から数日以内に噴火しそうだということが予想できる。
 しかし、現在わが国で認定している110活火山のうち常時観測が行われているのは半数以下の47火山であり、今後、前兆をとらえることなく不意打ち噴火の可能性は残る。

 2000年の有珠山の噴火では直前予知が成功し、噴火前に住民が避難できたが、この予知は経験的に有珠山では有感地震が続いてから噴火することが知られていたから成功した。噴火予知は、実用レベルにまで至っていないのが現状である。もちろん、火山の常時観測体制がないと、火山活動の高まりすら把握できない。

 藤井敏嗣・火山噴火予知連絡会によれば、「わが国で、噴出物量が3億立方m以上の大規模噴火が、17~19世紀は各世紀4回以上起こった。20世紀に入ってからは、1914年の桜島大正噴火、1929年の北海道駒ケ岳噴火の2回だけで、それ以降100年近く大きな噴火は起こっておらず、20世紀の火山活動は“異常に”静かだった。21世紀には少なくとも5~6回は大噴火が起こると考えるのが自然」としている。

 東日本大震災後のわが国は地震活動期に入ったのと同時に火山の活動期に入ったとする見方もある。2013年5月の内閣府・有識者会議「広域的な火山防災対策に係る検討会」の提言は、こうした長期的な“噴火予知”に立ったうえで、現観測体制の遅れを指摘している。

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