希ガスとは

カテゴリ: 環境

読み: きがす

 希ガスとは、周期表の右端の18族に属する元素のなかで、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)の6つの総称で、自然界の存在量が少なく希産のガスという意味で希ガスと呼ばれるが、その存在が希少であるというわけではない。
 これら希ガスの元素は非常に安定で反応性に乏しいため他の元素と化合物を作りにくい性質があり、このグループの元素はすべて無色・無臭の気体として空気中に存在することから不活性気体とも呼ばれる。
 希ガスは反応性が低く、また圧力を低くしてガラス管に封入し電圧をかけることで、それぞれ異なった色の光を放つ。そのため、電球やネオンサインとして利用されている。

 希ガスのうち、放射能を持つものを「放射性希ガス」と言う。放射性希ガスの代表的なものは、大気中希ガスが中性子照射で生成されるアルゴン41、ウランの核分裂生成物のクリプトン85、キセノン135など。天然に存在するものとしてラドン222、220がある。とくにラドンは、大陸などの花崗岩地帯では発生量が多く、これの呼吸による内部被ばくが問題となっている。

 また、原子力施設内で発生し放出される放射性希ガスは「放射性気体廃棄物」とも呼ばれる。原子力発電所で使用した燃料棒は、再利用が可能なウランやプルトニウムを取り出すために核燃料再処理工場に運搬され処理されるが、その際、燃料棒を切断するため中に溜まっていたものが処理施設内に出てくる。キセノン133は半減期が約5日と短く、燃料棒が使い終わって核分裂が停止しキセノン133 の発生がなくなってから燃料棒の取出し、運搬、燃料棒切断までの間に十分な時間があるため、ほとんど安定なセシウム133に変わる。
 一方でクリプトン85は半減期が約11年と比較的長いことから残存しており、最終的に再処理工場から気体廃棄物として環境に放出される。

 東京電力福島第1原子力発電所の事故に伴う被ばく線量の試算では、文部科学省は放射性希ガスを評価対象に入れた。これは、同事故でベント操作により希ガスのほぼ全量が放出されたと推定されたことから、原子炉施設の緊急時モニタリングとして、クリプトン、キセノン等の希ガスも考慮したもの。
 放射性希ガスは、地面に沈着せず、呼吸により肺に取込まれても体内に取り込まれる量は無視できるため、内部被ばくを考える必要はなく、外部被ばくを推定したが、半減期が短い放射性希ガスの検出はむずかしく健康影響はないとされる。

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