放射線とは

カテゴリ: 環境

読み: ほうしゃせん

 放射線とは、光とおなじような性質を持つ短い波長でエネルギーが高い電磁波と、粒子の運動によって生じる粒子線の総称で、電離放射線を言う。電磁波にはエックス線(X線)、ガンマ線(γ線)があり、粒子線にはアルファ線(α線)、ベータ線(β線)、中性子線、重粒子線、電子線、陽子線などがある。

 放射線の性質のひとつとして、物質のなかを通り抜けることがある。通り抜ける力は、放射線の種類とそのエネルギーの大きさによって異なる。
 エックス線とガンマ線を扱うときは、その装置を密度の大きな物質(鉛やコンクリート)で包み込むようにして外に漏れないようにする。アルファ線はウランやプルトニウムのように不安定な原子核が分裂した際に生じる大きな粒子であり、紙1枚で止めることができる。ベータ線も粒子線で、1cmのプラスチック板で十分止めることができる。原子炉から出る中性子を止める目的では、主に水が使われる。

 放射線は、1895年、ドイツの物理学者レントゲン博士が物質を通り抜ける光のようなものを発見し、エックス線(X線)と名づけ、これを使って夫人の手の写真を撮った。これに始まり医学は大きな進歩を遂げる。この功績でレントゲン博士は第1回ノーベル物理学賞を受賞した。
 放射線の存在を知った人類は、その後、物質をつくる原子の研究を進め、1905年にドイツのアインシュタイン博士が特殊相対性理論を発表して質量とエネルギーの等価性を理論的に証明、1938年に核分裂反応の確認で質量とエネルギーの等価性が実証され、原子力という新しいエネルギー「核エネルギー」の発見へと連なる。

 放射線には、宇宙や大地、大気、食物などの自然に存在する物質の放射線と、医療や生物学、建造物の検査などに用いられる人工的に作られた放射線があり、私たちは日常生活のなかで、放射線を絶えず受けながら生活している。
 自然放射線は、場所や高度によって放射線量は異なるが、1人が1年間に受ける自然放射線量は平均で2ミリシーベルトくらいである(放射線の単位には、放射能を出すほうの単位である「ベクレル:Bq」と、放射能を受けるほうの単位である「シーベルト:Sv」の2つに大きく分けられる)。

 人工放射線は、医療のレントゲン撮影やCTスキャンなどのX線、原子力発電所で生まれる放射線などを言う。放射線の種類や性質は自然放射線と変わりなく、人体への影響も自然放射線と変わらない。
 医療で用いられる放射線の機能には、エックス線での体内の腫瘍や炎症の診断、放射性薬剤を体内に投与して化学的性質に応じての病気診断(PETなど)、放射線照射でのがん細胞の除去などがある。

 放射線の持つ特殊な性質の利用で医療やエネルギー分野をはじめ、私たちの生活にさまざまな恩恵がもたらされた反面、放射線被ばくによる健康影響が大きな問題となる。放射線は人間の体の細胞の原子と原子のつながりからなる分子を破壊し、細胞が壊れたり、細胞の設計図とも言える遺伝子が突然変異を起こさせ、形や性質の異なる細胞(がん細胞)を生じさせる原因になることから、各分野での放射線管理は重要課題である。

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