津波火災とは

カテゴリ: 津波

読み: つなみかさい

津波火災とは、津波をきっかけに浸水域で発生する火災を言う。水と火という本来相容れない要因が結びつく災害であることから、想定しにくい新たな災害リスクとなっている。

 津波火災については古くから記録があり、1933年昭和三陸地震津波で岩手県釜石市で火災が発生し216棟が焼失した記録があるほか、1964年新潟地震では損壊した石油タンクから油が漏れ出し、それを津波が内陸部まで運んだところで着火、民家に燃え移り290棟が焼失した。同年、海外で、アラスカ地震で津波で流された漂流物が石油タンクに衝突して火を発し、民家に延焼、町を全焼させた例があった。近年では1993年北海道南西沖地震で、大津波に襲われた奥尻島で2件の火災から始まり192棟が焼失した。
 これらの事例では、コンビナートや港湾施設の石油タンクや事業者、家庭の燃料、船舶や車から漏れ出した燃料(重油、灯油、ガスなど)に漂流物が衝突して着火し、津波の浸水域に漂流して延焼を広げた。

 東日本大震災では、宮城県気仙沼市をはじめ、東北地方沿岸部の津波被災地で多数の火災が発生した。そのなかで、津波火災の事例としては、津波によって石油タンクが破壊され、流出した重油等に引火・着火して発生した海面火災のほか、津波で押し流された自動車や住宅が、山や丘の麓、大型の建物に行く手をさえぎられて集積し、その場所で燃え始める火災も少なからずあった。とくに注目されるのは、避難所となった学校施設の足元に集積した漂流物が燃え上がったケースもあったことだ。また、後の発火原因の調査から「自動車」が出火原因となるケースが多かった。

 津波火災は津波が引き起こす二次災害だが、現代社会の新たな災害リスクとして浮上している。日本各地のコンビナート港湾における地震・津波対策に加えて、内陸部・市街地での自動車等車両を原因とする津波火災対策が焦眉の課題となる。
 国の津波避難ビル指定ガイドラインは「堅固な高層建物等の人工構造物」であることを要件としているが、その大型建物周辺が津波火災では新たなリスクとなり得る矛盾は、東日本大震災が提起した最重要課題のひとつであり、南海トラフ巨大地震の防災対策で取り組むべき課題ともなる。

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