津波避難ビルとは

カテゴリ: 津波

読み: つなみひなんびる

津波避難ビルとは、津波が押し寄せたとき、地域住民が一時的に避難するための緊急避難場所として市町村によって指定されたビル(建物)を言う。地震発生から津波到達までの時間的猶予や地理的条件等の理由で、近くの安全な高台等への避難が困難と想定される地域において、ビルの高さや構造、耐震性などの要件を満たすものを選定し、市町村があらかじめ指定する。
 津波避難ビルとして指定を受ける施設は、公共施設のほか、商業施設、民間マンションも含まれ、民間施設の場合、自治体が所有者と協定を結ぶ方式となっている。

 市町村が指定する津波避難ビルは、東日本大震災前の2010年3月時点での内閣府調査によると全国で1790棟で、半数以上は東海・東南海・南海地震に備える東海・四国で占めた。東北では指定ビルが少なかったが、その理由は、急傾斜地が多く、高台への避難を優先したためと見られる。
 しかし、平野部が大半を占める仙台市以南の沿岸部では、東日本大震災で少なくとも約1万人近くが市町指定の津波避難ビルに逃げ込んで難を免れたとみられ、その数を岩手県での死者・行方不明者数約5800人、宮城県の同約1万800人と比べて考えた場合、避難ビルの有効性・重要性はきわめて大きかったと言える。

 いっぽう、国が2005年に津波避難ビルの指定について示したガイドラインの構造要件(新耐震基準を満たす鉄筋か鉄骨鉄筋コンクリート造り、想定される浸水の深さに応じて2~4階建て以上など)は、東日本大震災で同構造要件の建物で甚大な被害を受けたものが少なくなかったことから、大幅な見直しを迫られている。

 東日本大震災を踏まえて中央防災会議のもとに設置された「津波避難対策検討ワーキンググループ」は2012年7月に報告書を提出、そのなかで「避難場所、避難路・避難階段、津波避難ビル、津波避難タワー等は、最大クラスの津波への対応をめざす」が、「暫定的な措置として、最低でも比較的発生頻度が高い津波には対応するように避難施設の確保を進める。2005年に作成した津波避難ビル等に係るガイドラインは見直す必要がある」とした。
 最終的な避難ビルの指定は現在、自治体の裁量に委ねられている。

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