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記憶や学習能力は子供時代が決め手…三つ子の魂 百までも

 国立遺伝学研究所などの研究グループは、子供の脳に多い「αキメリン」という特定のタンパク質がはたらくことで、成長してからの記憶や学習能力に影響を与えることをマウスの実験で明らかにした。脳の発達メカニズムや自閉症などの解明に役立つものと期待されている。


 脳のなかは、神経細胞が無数につながった回路によって構成されており、記憶や学習はこの回路内で情報をやり取りすることで形成される。神経細胞には「スパイン」と呼ばれるとげ状の突起があり、記憶が形成されるたび、その記憶に使われるスパインの数や大きさが発達する一方で、あまり使われない神経回路のスパインは衰退する。


 国立遺伝学研究所の岩里琢治教授や理化学研究所の研究グループは、遺伝子操作をしたマウスを使って、記憶をつかさどる海馬の中の神経細胞のスパインが発達するメカニズムを解析した。


 その結果、胎児の時点や生後10日目の子供のときに、タンパク質の「αキメリン」がはたらかなくなるように操作したマウスでは、神経回路のスパインが異常に増大していることが判明。


 一方で成長した段階で遺伝子操作をしても、スパインに変化は見られず記憶力も正常範囲にとどまった。マウスの海馬を電気生理学的に解析した結果、「αキメリン」を欠損したマウスでは、神経回路での情報伝達の効率が上がり、記憶力が異常によくなっていたことが明らかになった。


 岩里教授は「子供の脳ではたらくαキメリンによって、海馬の発達が正常に抑制され、大人になったときに記憶や学習能力が適度に保たれることがわかった」と話している。研究グループは今回の成果が、スパインの異常が見つかる自閉症や統合失調症などの解明につながるとして期待を寄せている。


 なおこの研究成果は、米科学誌「The Journal of Neuroscience」電子版に掲載された。
 

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