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震災前にも発生した「ゆっくり地震」再現成功 地震研究に成果

 東日本大震災で発生した、活断層のすべりの速度が通常よりも遅い「ゆっくり地震」の現象を、海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの研究グループが、震源域から採取した断層サンプルを使って室内実験で再現に成功した。巨大地震発生のメカニズムの解明につながるものとして期待が寄せられている。


 通常の地震は、プレートが数秒から数十秒間で急速にすべることで発生するが、「ゆっくり地震」は数日から1年以上かけてゆっくりすべる。


 4年前の東日本大震災では、プレート境界の断層浅部が大きくすべることで大規模な地殻変動が起こり、その結果、巨大な津波が発生したが、この領域では大地震の前に「ゆっくり地震」が発生していたことが、海底に設置された圧力計や地震計の記録などから明らかにされており、巨大地震との関係性について注目を集めている。


 JAMSTECの伊藤喜宏主任研究員や京都大学防災研究所などのグループは、地球深部探査船が、2012年に震源域のプレート境界の断層から採取した「スメクタイト」という粘土鉱物のサンプルを実際のプレートの沈み込みとほぼ同じ環境下で変形させて、「ゆっくり地震」が発生するか再現実験を試みた。


 実験では、太平洋プレートの沈み込み速度を年間8.5センチ、秒速に換算すると毎秒2.7ナノメートル(1ナノメートル=10億分の1メートル)という超低速ですべらせた。その結果、サンプル内部の応力(摩擦強度)が一時的に強まり、その後、減少するという現象が起きた。


 実験で計測されたすべりの速度や応力降下にかかる時間などの観測データは、いずれも世界の沈み込み帯で実際に観測されている「ゆっくり地震」と変わらなかったという。


 「ゆっくり地震」は、東日本大震災の震源域だけでなく、南海トラフや米・カナダ国境付近やニュージーランドの太平洋沿岸でも観測されている。プレートや地殻は海底の広い範囲でつながっているため、ゆっくり地震では大きな揺れが発生しなくても、別の場所でひずみを蓄積させる原因ともなる。


 「ゆっくり地震」の再現を通じて、研究グループは「プレート境界の断層浅部では、ゆっくり地震のゆっくりとした滑りと、巨大地震時の高速での滑りが同じ断層で起こり得ることが実証された」として、今後は、ゆっくり地震の発生域も巨大地震の震源域に含める新たな巨大地震のモデルを検討していく必要性を訴えている。


 なおこの研究成果は、英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス」電子版に掲載された。

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