医療技術
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難病の潰瘍性大腸炎 新薬の開発に成功 日本発は十数年ぶり

 国内に約16万人の患者がいる原因不明の難病、潰瘍性大腸炎。日本で開発した新薬を全国の医療機関で臨床試験を行った結果、粘膜がただれるなど中程度の症状の患者6割以上に効果があったことが東京医科歯科大学の研究で裏付けられた。


 潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる大腸の病気で、下痢や下血などの症状があり、深刻化すると大腸の摘出手術や人工肛門で対応する場合もある。発症年齢のピークは、男女とも20代が多いものの、高齢者まで幅広く発症し、日本での患者数は16万6000人以上(2013年)にのぼる。


 東京医科歯科大学の渡辺守教授らのグループは、味の素製薬が開発した新薬「AJM300」について全国42カ所の医療機関で臨床試験を実施した。試験では、中程度の症状の患者102人を対象に、新薬と、有効成分を含まない偽薬を8週間投与した。


 その結果、新薬を投与された患者では、偽薬を飲んだ患者の2.5倍近い62.7%に有効であることがわかった。内視鏡を使った粘膜検査でも、治癒率が2倍高かったという。


 潰瘍性大腸炎の治療には、粘膜の炎症を抑える副腎皮質ステロイド薬など、いくつかの治療薬があるが、従来の治療では改善しなかったり、再燃予防の効果がないなど、新たな治療薬の開発が課題だった。


 臨床試験を指揮した渡辺教授は「AJM300は日本で開発された世界で初めての経口薬であり、その臨床試験にはオールジャパン体制で挑んだ。潰瘍性大腸炎の治療薬が日本で発表されたのは十数年ぶりで、既存の治療では効果がみられなかった患者の新たな選択肢になる」と話している。


 なおこの研究成果は、消化器系の専門誌「ガストロエンテロロジー」電子版に掲載された。