感染症
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狂犬病「世界では10分に1人死亡」 国内では60年間発生なしだが…

 日本ではとっくの昔に撲滅した狂犬病だが、世界保健機関(WHO)は10日、「世界では10分間に1人の割合で狂犬病によって人が死んでいる」という衝撃的な報告書を発表した。狂犬病の撲滅を目指して、国連や各国政府と共に、新たな行動計画づくりに乗り出す。


 WHOによると、全世界150カ所の国と地域で、毎年3万5000人以上が狂犬病で死亡している。死亡者の95%はアジアとアフリカ地域に集中していて、そのうち4割が15歳未満の子供だ。


 狂犬病は、ウイルスを保有する犬や猫、コウモリを含む動物に噛まれたり、引っかかれたりして、傷口から感染する感染病だが、日本では1957年以降発生が確認されておらず、唯一、ネパールで野犬に噛まれて死亡した症例が報告されている。


 国立感染症研究所によると、国内で根絶できた背景には、ワクチン接種率の向上や、島国という地理的利点が大きいという。狂犬病が根絶された地域は、台湾やハワイ、オーストラリア、イギリスと、日本と同じ島国に限られていたが、最近では島国だからといって、安心できない状況だ。


 というのも、イギリスでは1996年、コウモリから狂犬病に似たウイルスが検出され、2002年には、ウイルスを保有したコウモリによって、100年ぶりに死者が出た。このコウモリは、ヨーロッパからネパール、中国、日本にも広く生息する種類で、ユーロトンネルの開通でフランスから大量に侵入するおそれも懸念されている。


 また、オーストラリアでも1996年にコウモリが原因で2人の患者が報告されていることから、決して対岸の火事ではない。


 WHOのマーガレット・チャン事務局長は10日、「世界には、狂犬病にかかって10分間に1人が死亡している国がある」と発表し、感染が多い発展途上国で、ワクチン接種が受けられるよう国際的な支援策の必要性を呼びかけた。