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津波や高潮など塩害に強い大豆 遺伝子を発見 収穫量アップ

 津波や高潮などの海水や、水不足が懸念される乾燥地帯など土壌の塩害が懸念される地域でも、安定して生産できる大豆の遺伝子を東北大学や北海道大学などのグループが発見した。既存の大豆と交配させることで塩害に強い品種の開発が期待されるという。


 味噌や醤油などの原料に使われる大豆は、世界でも消費量を増やしていて、この15年間で倍近くの3億トンに増えている。植物油や家畜の飼料としても使われている大豆は、干ばつや塩害、低温などに弱く、イネやトウモロコシなどに比べると生産性が低いのが課題になっている。


 東日本大震災で津波や高潮の被害を受けた東北沿岸では、農地の土壌で塩害が報告されている。国外では中国の乾燥地帯を中心に、世界の灌漑用地の3分の1の面積にあたる土壌で、塩性化の影響を受けていて、収穫ができなくなっている状況だ。


 塩害に強い品種改良を目指す東北大の佐藤雅志准教授や国際農林水産業研究センターなどのグループは、大豆の祖先である野生のツルマメなど600系統以上の大豆の遺伝子を解析した結果、ブラジルや中国、日本の野生の大豆などから塩に強い遺伝子を持つ品種を発見し、耐塩性を持つ遺伝子が第3染色体にあることを突き止めた。


 この遺伝子を導入した2種類の大豆を育てたところ、遺伝子が地中の根で強く発現すると、茎や葉での塩の蓄積が少なくなることも実証されたという。


 さらに塩に強い遺伝子を持つ系統と、従来の大豆を塩害畑で3年間育てたところ、従来の品種は、葉が黄色く枯れたが、遺伝子を持つ大豆では、収穫量が4.6倍良かったという。


 研究グループでは今後、遺伝子組み換え技術を使って既存の品種よりも塩害に強い大豆の開発に結び付けたいと話している。


 なおこの研究成果は英科学誌「ネイチャー」の姉妹誌「サイエンティフィック・レポート」電子版に掲載された。