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漂流するマイクロプラスチックで牡蠣が食べられなくなる?

 生はもちろん、フライや土手鍋など、産卵準備に入る今は一年で牡蠣が最も美味しくなる季節。ところが発泡スチロールやペットボトルなど、海に漂うプラスチックゴミが劣化して細くなり、5ミリ以下となった「マイクロプラスチック」が牡蠣の繁殖に深刻な影響を与えているという研究結果を、仏の海洋機関が発表した。

 

 数百マイクロメートルから1ミリ程度と、動物プランクトンくらい小さな「マイクロプラスチック」が魚や鳥が餌と間違えて食べて腸閉塞を引き起こすなど、自然環境にさまざまな影響を及ぼしていることは、従来も指摘されてきた。

 

 仏の海洋調査機関、IFREMERの研究グループは、牡蠣を入れたタンクにマイクロプラスチックを入れて2カ月間観察した。

 

 その結果、マイクロプラスチックが入った海水にさらされた牡蠣では、さらされなかった牡蠣に比べて卵子が小さくなり、精子の動きが悪くなることがわかった。さらにマイクロプラスチックにさらされると、繁殖率が41%下がり、稚貝の成長も遅くなった。

 

 観察に使われたマイクロプラスチック入りの海水は、最高レベルに汚染された中国沿岸の海水と同程度のレベルのものだという。研究者の一人は、「マイクロプラスチックが牡蠣の生殖能力にどういった影響を与えるのか、はっきりした理由はわからないが、牡蠣のホルモンや消化器系の働きを阻害して、食物を食べたり、栄養分を吸収するのを阻害する可能性がある」と考えている。

 

 マイクロプラスチックは、樹脂製品だけでなく、今や一部の洗顔フォームや歯磨き粉、洗濯洗剤などにも含まれている。研究グループでは世界の海には推定500万から1200万トンのマイクロプラスチックが浮遊していると指摘し、これらが完全に分解されるには実に450年かかるという。

 

 牡蠣を含む貝類は、海中の窒素を取り除き、水を浄化する作用があることで知られるが、これらの貝類が汚染され、生息数が減少することで、貝を餌にする他の海洋生物にも影響が広がるおそれがある。

 

 FREMERでは自然に還るジャガイモなどを使った植物性プラスチックへの切り替えを進めなければ、2050年には魚類などの海洋生物よりも、マイクロプラスチックの方が多くなると警告している。

 

 なお、この研究結果は学術誌「米科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された。

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