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遺伝子組換えウイルスを処理しないまま実験室の流し台へ 熊本大

 熊本大学は23日、遺伝子組み換え生物を扱う実験中に、HIVウイルスに由来したウイルスを死滅させないまま、誤って実験室の流しに捨てていた事実を明らかにした。ウイルスに病原性や増殖性はなく、廃液貯留槽内で薄められ、下水道への流出はないとしている。

 

 遺伝子組み換え生物の使用に関する「カタルヘナ法」では、拡散防止のため、遺伝子を組み換えた生物を持ち出したり、廃棄する場合は、あらかじめ熱や薬品で死滅させるよう義務付けている。

 

 熊本大大学院の生命科学研究部によると、先月26日に行った遺伝子治療を目的とした実験中、HIVウイルスに由来した「レンチウイルスベクター」を含む溶液を遠心分離機にかける作業を実施。

 

 終了後、ウイルスベクターを含んだ上澄み液約50ミリリットルを死滅処理前に誤って流し台に廃棄した。このミスに気づいた実験チームは、約1時間後にウイルスを死滅させる次亜塩素酸ナトリウムを3.6リットル投入した。

 

 その後、排水管を調査した結果、流しに捨てた溶液は事故発生から45分後には60〜100倍に薄められ、実験施設の地下にある廃液貯留槽に到達。この中でさらに20万倍以上に薄められて下水道に流されたものと結論付けられた。

 

 あわせて、ウイルスベクターを水道水で薄めた場合に、どの程度遺伝子への影響力を残しているか実験したところ、水道水で100倍以上に薄めた場合に失われることがわかったという。

 

 熊本大は「実験上の作業手順に不適切な点や、実験責任者からの指示が不十分だった」と謝罪し、再発防止策を徹底するとしている。

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