歴史

防災歳時記5月25日 小惑星それは凶兆でなく災厄そのもの

 今から2253年前、紀元前240年の今日5月25日。世界最古のハレー彗星の明確な観測記録が残された日付だ。

 

 『史記』の秦始皇本紀 始皇帝7年条。

 

「彗星先ず東方に出て、北方に見ゆ。5月西方に見ゆ」

 

 時あたかも始皇帝率いる強大国家「秦」に対し、周辺5カ国が攻撃を開始した時期でもあり、史記を見る限り、古代中国において「彗星は戦乱や謀反の凶兆」とされるのも無理からぬと感じる。

 

 しかし、彗星(もしくは小惑星、隕石)は「凶兆」などではなく、最近は「災厄」そのものだと捉えられている。

 

 旧約聖書で、姦淫の罪により天から硫黄と火が降り注いで滅ぼされた、とするソドムとゴモラの伝説も、最近の研究ではアルプス上空で空中爆発した小惑星によるものではないか、と見られている。

 

 恐竜が繁栄した中生代を終わらせ、地上のほとんどの生物を死滅させたのはメキシコ ユカタン半島に残るチクシュルーブ・クレーターを作った直径10〜15キロの小惑星の衝突だという。

 今年2月にロシア チェリャビンスク州の上空で爆発した隕石は、直径数メートルから15メートルと見られているが、その衝撃波により1000人以上が負傷し、建物に多くの被害を出した。

 

 爆発時に発生したエネルギーは、広島原爆の30倍以上というから、こんな隕石が東京にでも落下したら、首都直下地震どころではない被害が出るかもしれない。

 

 超巨大地震でも、その規模はM9クラス。しかしチクシュルーブ並みの小惑星が衝突する時のエネルギーはM10以上というから、最悪の自然災害は小惑星衝突だと言える。

 

 そんな中、今年4月に米航空宇宙局(NASA)は、地球に近づく小惑星を無人宇宙船により柔らかい素材の袋に包んで移動させるという技術開発に乗り出すことを発表し、約100億円の予算を計上した。

 


 「地球を守るのに役立つ技術になるだろう」(ボールデンNASA長官)

 

 

 まるでハリウッドSF超大作映画といったおもむきだ。

 

 チェリャビンスクのような数メートルクラスの隕石が、人の住む場所に落下する確率は100年に一度らしい。東日本大震災以降、1000年に一度の自然災害に備えることを人々は真剣に考え始めている。

 

 しかし1000年に一度という確率での隕石落下がもたらす被害想定はどれくらいなのか?

 

 そして、それを防ぐためにはどれくらいのコストがかかるのだろうか?

 

 最近は「流れ星に願い」をかけるような、ロマンチックな時代ではないのかもしれない。

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