歴史

防災歳時記6月15日明治三陸地震と津波石

 今から117年前、1896年(明治29年)の今日6月15日午後7時32分。M8.2の明治三陸地震が発生した。

 

 岩手県釜石市の東方沖200キロで起きたこの地震による各地の震度は2〜3と小さく、誰も気に止めなかった。

 

 しかし遥か太平洋の海底では、幅50キロ、長さ210キロに渡ってゆっくりと海水が持ち上げられ、地震発生から約30分後に巨大な津波となって、北海道から宮城県いや正確にいうとハワイや太平洋の対岸カリフォルニアまでもを襲った。

 

 この津波により、死者・行方不明者は約2万2000人。

 

 岩手県大船渡市の綾里湾では、当時の最も高い津波遡上高38.2メートルを記録した。

 

 この津波により岩手県田野畑村羅賀では、海岸から約360メートル、標高約25メートルの場所に、重さ約20トンの巨石が2つ打ち上げられた。

 

 いわゆる「津波石」だ。

 近所の住民の多くは、東日本大震災の後になって「津波で運ばれてきたという言い伝えは本当だったんだ」と思ったそうだが、実際、東日本大震災の時は津波石のすぐ手前まで津波が押し寄せ、羅賀の住宅150件の半数が流された。

 

 東日本大震災以降、災害の記憶を風化させないために「震災遺構」を保存する重要性が認識されているが、この津波石や地名など、歴史に刻まれた災害の記憶は全国各地に点在する。

 

 最近は市町村合併などにより、イメージの良い現代風な地名に変更してしまっているために、災害時に命を助ける道しるべになるべき歴史が失われていると指摘するむきもある。

 

 津波石にしても、岩手県だけでなく、例えば遥か南の宮古島や石垣島にも存在する。

 

 石垣島の大浜の崎原公園にある津波大石(つなみうふいし)は、約2000年前の先島津波で運ばれたという重さ約1000トンの巨石だ。

 

 石垣島東海岸には長い歴史の中で幾度となく襲った津波によって打ち上げられた津波石が点在しており、今年3月に「石垣島東海岸の津波石群」として天然記念物に指定された。

 

「賢者は歴史に学ぶ」

 

 その格言は防災の世界でも「真」なのだろう。

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