歴史

防災歳時記6月26日ハーメルンの笛吹き男

 今から729年前、1284年の今日6月26日、ドイツ・ハーメルンで、町の子どもたち130人が笛吹き男に連れ去られるというショッキングな事件が起きた。

 

 そう、グリム童話でおなじみの「ハーメルンの笛吹き男」は実際に伝わるハーメルンの伝承がベースの「実話」だ。

 

 伝承では、ねずみ取りの男に町の人々が報酬を出し渋ったことによって事件は起きている。男が笛を吹き鳴らすと子どもたちは男に付き従い、そのまま洞窟の中へと誘い込まれて二度と戻ってはこなかった。

 

 あまりに恐ろしいこの伝承だが、その後長い時代の流れの中で、さまざまな人によって、「伝承が伝える本当の意味」が研究されている。

 

 その中には「男は悪魔(魔法使い)だった」とか「男は小児性愛者だった」とか恐ろしいものもあるが、最も多くの人に支持されている説は、「男は植民請負人(ロカトール)だった」というもの。

 

 13世紀のドイツでは、人口が増える一方で、すべての土地・財産は長男が相続する制度だったため、「口減らし」をする必要があった。そんな時代背景もあり、「ロカトール」が町から町を渡り歩き、子どもたちを買っては「植民地開拓要員」にしていたのだそうだ。

 

 そして子どもたちは東欧などに運ばれていく。ハーメルンの子どもたちは、遠くポーランドまで連れて行かれたとか、ルーマニアのトランシルバニアを作ったとか言われているとか。

 さらわれた子どもたちがトランシルバニアを作った、とか言われると少しは救われる気持ちになるが、ことさらに中世から近世のヨーロッパを舞台にした童話は残酷で恐ろしい。

 

 同じグリム童話の「赤ずきんちゃん」だって、17世紀のフランスの詩人シャルル・ペローがグリム童話より前に伝承を元に書いた作品では、赤ずきんちゃんは狼にペロッといかれたっきりだ。

 

 アンデルセンが書いた「マッチ売りの少女」だって結局は飢えと寒さで凍え死ぬ少女の話だ。

 

 厳しい寒さと飢え、激しい貧富の差、童話から垣間見る中世から近世のヨーロッパとは、かくも恐ろしい場所だったのだろう。

 

 しかしだからこそ、そんな社会を変革しようと思う気持ちが、この地で産業革命や民主主義成立の原動力になったのかもしれない。

 

 でもだとすれば、この四季の実り豊かで温暖な地に生き続ける日本人には、ヨーロッパの人々が求めていた理想など、本当の意味で理解には到底届かないのかもしれない。

 

 日本の昔話を読む限り、それが「姨捨山」や「神隠し」など恐ろしい題材だったとしても、ヨーロッパの童話から比べれば、もっと優しいし、何だか救いがあるように感じるから。

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