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「日本」の名を持つ元素誕生 理研・森田浩介氏「30年間の努力みのる」

 11月30日、「日本」を意味する113番目の元素「ニホニウムNh(nihonium)」が誕生した。発見した理化学研究所・仁科加速器研究センターの森田浩介グループディレクターは「アジア初の元素名が人類の知的財産として周期表の一席をしめることを光栄に思う」と、超重元素の合成に挑戦し続けた30年間を振り返った。

 

 森田氏が研究員として入った1984年、理研は加速器を使った超重元素の合成を目標にしていた。自然界に安定して存在する元素は、原子記号92番のウラン(U)までで、それ以降の重い元素は、加速器を使って人工的に合成するが、原子記号が大きくなるほど合成が難しく、109番のマイトネリウム(Mt)より重い元素の合成が森田氏に課せられたミッションだった。

 

 その後、研究設備や加速器の性能の改良を重ねて、2003年9月、いよいよ113番目の合成実験を開始。翌年7月、原子番号30番の亜鉛(Zn)の原子核を加速させたビームを、83番のビスマス(Bi)に照射した結果、核融合が起こり、113番目の合成に導いたのだ。

 

 1回だけの合成ではもちろん成功とは言えない。2005年にも2度目の合成に成功したことから、2006年、国際機関に報告したが、この時には「証拠不十分」で新元素発見が認められなかった。実験回数が400兆回に達した2012年8月、ついに3度目の合成に成功。実験開始から9年の歳月が経っていた。

 

 すぐに国際機関に報告したが、この時点で米ロの共同研究グループも113番の元素の命名権を主張していた。米ロ側はこれまでにも114、116番の合成に成功しており、113番だけでなく、115、117、118番の4個の元素発見の優先権を要求していたという。

 

 紆余曲折があったが、国際純正・応用化学連合は2015年12月、森田氏らの発見を認定。今年3月に森田氏から提案された元素名案は半年近い審議を経て、30日午後5時に「ニホニウム(Nh)」が正式に誕生した。

 

 これで現在までに発見されている元素は118種類にのぼり、周期表の第7周期までの元素がすべてそろった。森田氏は今後、第8周期元素以降の119番目の発見に向けて、さらに挑戦を続けていく。

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