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貴重な石の宝庫・瀬戸内海の島でリチウムを含む鉱物を新発見

 

 イオン電池の原料として知られるリチウムを多量に含む珍しい鉱物が、瀬戸内海に浮かぶ愛媛県の岩城島で山口大学などの共同グループが発見した。著名な鉱物学者の名前にちなんで「村上石」と命名された。

 

 山口大の今岡照喜教授や海洋研究開発機構(JAMSTEC)の共同グループは、1944年に愛媛県上島町の岩城(いわぎ)島で発見され、県が天然記念物に指定した「エジル石閃長岩(せきせんちょうがん)」に着目。

 

 エジル石閃長岩は、北欧神話の海の神様エギルから名付けられた、ナトリウムと鉄を主成分とする輝石のひとつ。「アルバイト」という白い曹長石を基調に、抹茶色の「杉石」、黒いまだら模様の「エジリン」が混じっている鉱物だ。

 

 九州大学の研究者が最初に発見してから30年以上経た1976年、鉱物学者の村上允英(のぶひで)山口大学名誉教授が、エジル石閃長岩から杉石と片山石を発見。

 

 共同グループは今回、エジル石閃長岩に3%ほど含まれる「ペクトライト」という鉱物を分離し、化学組成や結晶構造を詳細に分析したところ、リチウムの含有量がナトリウムを上回って60%と多い新しい鉱物の発見に至った。

 

 今年10月には国際鉱物学連合(IMA)の新鉱物・命名・分類委員会によって新種として承認され、「村上石」と命名された。村上石はこれまで1つの試料しか見つかっていないため、存在自体が非常に珍しく、岩石が形成された年代やメカニズムは解明されていない。

 

 今岡教授らは「世界の鉱物学者の間では、ナトリウムよりリチウムが多いペクトライトが存在すると予想されていたが、今回の発見は、そのミッシングピースを埋める成果だ」と話している。

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