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津波被災地で生きた技術 今度はアフリカの農業で生かされる

 東日本大震災の津波の被害にあった被災地などで導入された土壌改良技術が、ケニアやナイジェリアからの留学生に伝えられることになった。独自に開発したハイドロゲル技術で、アフリカの途上国に役立ちたいと話すのは、神奈川県平塚市のベンチャー企業「メビオール」だ。

 

 メビオールの代表取締役、森有一さん(元早稲田大学客員教授)が、人工血管やカテーテルなどの医療用製品で使われていたハイドロゲル技術を応用して開発した「アイメック®」は、寒天やゼリーのように水を溜め込む性質を応用した薄いフィルム。ナノサイズの穴が無数に開いていて、水と養分だけを通す仕組みだ。

 

 農薬を使わなくても、有害な微生物や細菌、ウイルスによる汚染を防ぐことができるので、劣化した土壌や乾燥地帯などの荒廃した土地でも農作物の栽培ができることから、津波の塩害に見舞われた岩手県陸前高田市などで導入され、これまでに栽培された面積は10万坪に達した。

 

 メビオールは、国際協力機構(JICA)がアフリカから受け入れている社会人留学生のプログラムを利用して、2016年9月、ケニアとナイジェリアからの3人の留学生にインターンシップを行った。

 

 東京農業大学や筑波大学などで農業を学ぶ3人は、1週間のインターン期間中に、陸前高田市の農場を視察。この間にナイジェリア人留学生、オルセグン・イドウさんを通じて、同国エヌグ州政府からフィルム農法を導入したいという相談が寄せられたという。

 

 森社長は留学生を前に「土作りや水やりの管理がいらず、ハイドロフィルムを広げるだけで農業を始められる。温暖化で拡大している不毛地帯の再生や、津波被害にあった農地の復興にチャレンジしていきたい」と開発の経緯を説明。

 

 ケニアのインターン生、マイケル・キャロ・ワンブアさんは「水資源の枯渇や土壌汚染が深刻化するなかで、アフリカの食糧問題を解決する可能性につながると思う」と希望を語ったという。

 

 日本では2009年にトマトの生産から始まったフィルム農法。その特許は120カ国以上で出願され、すでに100カ国以上で登録されており、中東ドバイの砂漠地帯などで実績を積んでいる。

 

 東日本大震災の被災地で生かされた技術が、アフリカの渇いた大地に緑の葉を茂らせる日も近い…。

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