感染症

アメーバ赤痢 10年で9300人 国内感染8割 男性患者急増のワケとは?

 下痢や血便などの症状を伴う赤痢は、衛生が行き届いていない途上国の病気という印象だが、過去10年間に、国内では「アメーバ赤痢」という恐ろしげな響きの名前を持つ赤痢患者の報告数が増加傾向にある。

 

 従来、赤痢と呼ばれていた病気は、「細菌性」と「アメーバ性」に分けられている。細菌性は疫痢とも呼ばれ、1960年代までは日本でも子供に多く見られ、重症化すると高い割合で死亡すると恐れられたが、現代ではほとんどみられなくなっている。

 

 しかし、大腸に寄生するアメーバ赤痢は、性行為で感染するケースもあり、患者報告数が男性を中心に近年増加傾向にある。日本では感染報告の義務があり、国立感染症研究所によると、2007年から2016年10月末にかけて、報告された患者数は9301人に上る。

 

 このうち、1302人は中国やタイ、インドネシア、フィリピンなど国外感染だが、残る8割の7753人は国内感染。患者のうち9割近くは男性で、その中心年齢は50歳。女性患者の報告数は10年間ほぼ横ばいが続いているのに対し、男性患者の報告数は2007年(686例)から、2015年(988例)には1.4倍に増えていて、近年の患者数の増加は、主に男性患者によるものだという。

 

 アメーバ赤痢は寄生虫で汚染された水や食品から引き起こされるケースもあるが、感染研によると国内での症例は、男性同士の性交渉が多いとされる。感染すると、自覚症状はないが大腸の粘膜に潰瘍などの病変が起き、内視鏡検査によって発見されるケースが増えている。

 

 発症すると、下痢のほか、粘血便や便意はあるものの排便しない症状などが起き、血管から肝臓や肺、脳、皮膚に転移するとウミが溜まって炎症を起こして重症化するケースもある。

 

 日本国内では過去10年間に報告された9301人のうち、死亡例は38人で、そのうち1人を除いて全員が男性患者だ。年齢層は30〜80代まで幅広く、とくに50〜70代では8〜9人ずつと多い。

 

 国立感染症研究所によると、従来、国内ではHIV感染者同様、男性では同性間による性交渉で感染する人が多かったが、近年では異性間が原因の患者が増えているとして、アメーバ赤痢対策を総合的な性感染症対策の一環として捉える必要性があると訴えている。

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