歴史

防災歳時記7月3日エイズが発見された日

 今から32年前、1981年の今日7月3日付けのニューヨーク・タイムズに一つの記事が掲載される。

 

 「同性愛者から原因不明のがんを発見」

 

 エイズ(HIV)が初めて「新しい病気」として認識された瞬間だった。

 

 この新しい病は、はるばるアフリカから世界に広まり、アメリカ・ロサンゼルスのゲイに感染して初めて「病気」として認識された。

 

 1981年の症例報告からわずか10年でHIVは世界中に広まり、感染者は100万人を超えた。

 

 ニューヨークでは、この新しい病により20世紀後半のアメリカを代表する天才的な写真家ロバート・メイプルソープが、1989年にこの世を去った。

 そして3年後の1991年には、ロンドンで伝説的ロックバンド「クイーン」のボーカリスト フレディ・マーキュリーが同じ病で命を落とした。

 

 この恐ろしい病で、世界から多くの貴重な才能が失われていった。

 

 2011年現在、世界のHIV感染者は約3400万人。なぜか最近、日本ではHIVを伝えるニュースを余り見なくなったが、世界では今でもこんなに多くの人がHIVと戦っている。

 

 この病が、恐ろしい「不治の病」であることは今も変わりないが、治療法はかつてより遥かに進歩している。

 

 抗レトロウイルス治療薬(ART)

 

 この治療法が発見されたことで、HIV感染者の死亡率は約40%減少し、平均生存年数も約13年伸びたと言われている。

 

 世界保健機関(WHO)は6月30日に、「HIV感染者を延命し、感染リスクを軽減するためにも、できるだけ早期にARTを投与することを推奨する」との治療ガイドラインをまとめた。

 

 2012年末には、ART治療を受けた世界中の感染者の数は、前年より160万人増えた970万人。

 

 WHOは、「数年前には考えられない人類の大勝利」と語っている。

 

 遠くない将来、一部のがんと同様に、HIVも「完治こそしないが、早期治療すればさほど恐ろしくない病気」になるのだろうか。

 

 この病でこれ以上、多くの貴重な才能が失われることがないよう祈るばかりだ。

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