医療技術

血液中のPCB濃度「高いほど精子少ない」東北大が男性不妊の一因を特定

 1970年代まで塗料や溶剤のほか、さまざまな工業製品に使われていた化学物質「ポリ塩化ビフェニール(PCB)」について、東北大学の研究チームは血液中の濃度が高い男性ほど、精子の数が少なく、妊娠率が低くなることを突き止めた。

 

 PCBは電気製品の絶縁油のほか、熱交換器、ノンカーボンの感圧複写紙など幅広い分野で使われていたが、人間や動物の体内に蓄積されると、ほとんど排泄されない強い毒性があることが明らかになり、1972年に製造・使用が中止された。しかし、PCBを使用した機械類は廃棄されないまま、現在も公共施設などで使われており、環境汚染物質として生態系への影響が懸念されている。

 

 東北大・大学院の有馬隆博教授と仲井邦彦教授らのグループは、不妊治療を受けた男性221人を対象に、血中PCB濃度と精子異常の関係性を分析。その結果、被験者のうち精子の数が極めて少ない「乏精子症」の30人は、精子が正常な人と比べて、血中PCB濃度が平均して1.6倍高いことがわかった。

 

 さらに、精子と卵子が受精する際に、遺伝子の働きをコントロールする「DNAメチル化」という反応に着目して、精子の数との関係性を調べたところ、精子の数が正常な人はDNAメチル化に異常がある人の割合が約17%にとどまったが、乏精子症の場合はその割合が約70%と高かった。

 

 また、DNAメチル化反応が異常な精子で体外受精を行ったところ、正常な精子と比べて妊娠率が低下することも判明。これらの結果かから研究グループは、PCBが精子のメチル化に悪影響を及ぼして精子数を減少させ、不妊につながっている可能性があるとみている。

 

 なおこの研究成果は、英科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』電子版に掲載された。

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