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楊貴妃が愛した美の果物ライチ 子供が脳疾患を発症 インド

 ライチをふだん食べることがあるだろうか?世界三大美女の楊貴妃が愛したことでも知られ、皇帝が妃を喜ばすために熱帯地方から都まで早馬を飛ばしたといわれる果物だ。ところが、インド北部の産地では過去20年間、ライチを食べた後に原因不明の脳疾患で死亡する子供が相次いでいるという。

 

 ネパールとの国境に近いインド北部ムザファルプルでは、2014年5月下旬から7月半ばにかけて、399人の小児患者が原因不明の脳疾患を発症し、このうち122人が死亡した。ムザファルプルは、インド最大のライチ産地として知られており、1995年以降、収穫シーズンの5〜7月になると、子供が突然発作を起こして昏睡状態に陥る謎の症状が報告されていることから、地元では謎のライチ病として恐れられていたが、患者は一向に減ることがなかった。

 

 国際医学誌『ランセット・グローバル・ヘルス』に最近紹介された研究論文によると、インドのシュリ・クリシュナ医療大学病院の研究グループは、2014年に発症した399人の追跡調査を行った結果、これらの子供は健康な子供に比べて、ライチを食べる機会がふだんから10倍多く、果樹園にも頻繁に訪れていたことが判明。さらに発症する24時間以内にも果樹園に足を踏み入れていたことがわかった。

 

 尿検査の結果、患者の66%からライチの種に含まれるハイポグリシンという成分が検出され、子供のほとんどが危険なほどの低血糖状態に陥っていることが判明した。

 

 通常ならば、血糖値が低下すると、脂肪酸を分解して脳の活動に必要なブドウ糖を作るよう脳が指令を出す。しかし、栄養失調の子供が空腹を満たそうとライチを食べると、ハイポグリシンがブドウ糖を作る酵素の働きを邪魔することで、低血糖がますます進んで脳疾患を引き起こす原因になるという。

 

 子供の発症は、その日の午前中に起こるケースが多いことから、研究グループは「前日に夕食をきちんと食べることで脳疾患の発作は防げる」と指導しているという。

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