歴史

防災歳時記7月5日クローン羊は人間の夢を見るか

 今から17年前、1996年の今日7月5日に、スコットランドで一匹の羊が誕生した。

 

 名前は「ドリー」。歌手のドリー・パートンにちなんで名付けられた。

 

 このドリーは6歳のメスの羊の体細胞から作られた世界初のほ乳類のクローンだった。

 

 ドリー誕生のニュースは世界中に、科学的、社会的、倫理的な議論を巻き起こした。

 

 「動物のクローンを作ることの倫理的な是非」とともに、かなりSF的かつ科学的議論もあった。

 

 染色体の末端にあるテロメアは、細胞分裂のたびに短くなっていく、すなわち「細胞老化」に関わっているとも言われているが、ドリーは生まれつき、このテロメアが短いとの論文が1996年ネイチャー誌に掲載された。

 

 どうしてドリーのテロメアは生まれつき短いのか?……それは6歳の羊の細胞から作られたから。

 

 ドリーは生まれた時から、「細胞的には6歳だった」と言うのだ。そしてドリーは6歳で若死?した。

 

 6歳にして老衰?……しかし検死の結果、ドリーの死因は羊にありがちな病気、ヒツジ肺腺腫によるもので、「生まれつきの老化」ではなかった。

 あれから17年。その後、ウマやウシなど、さまざまな動物のクローンが作られた。

 

 そして、先月18日、国は、人間の細胞を動物の細胞に埋め込んだ「動物性集合胚(はい)」を動物の子宮に戻し、その動物に人間の内臓を作らせる基礎研究を認める方針を示した。

 

 つまり、膵臓ができないようにしたブタの受精卵を胚に育て、例えば膵臓を不治の病に冒された人のiPS細胞を入れて動物性集合胚を作る。

 

 これをブタの子宮に戻して育てると、「人間の膵臓を持ったブタ」が生まれる。ブタの膵臓は人間のと大きさが変わらないから、人から人への臓器移植の代わりに使おうという研究だ。

 

 国の専門調査会は、動物の子宮に「動物性集合胚」を戻すことは認めたが、人間に近い霊長類を用いた研究や、人間の脳神経などを作る研究は、一定の制限が必要としている。

 

 そして4日、横浜市立大学の研究グループがヒトのiPS細胞から、マウスを使って人間の小さな肝臓を作り出すことに世界で初めて成功した。

 

 いつの日か人間の脳も動物の体で作ることができる時代が来るのか?

 

「クローン羊は人間の夢を見るか」

 

 まるで60年代サイバーパンク小説のタイトルみたいな話だ。

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