医療技術

あくびはうつるというけれど…「かゆみ」も?マウスで実験 米国

 ノミやシラミのような小さな虫を見ると、たとえ写真であってもムズムズする経験は誰しも覚えがある。米ワシントン大学の研究グループは、身体を掻いているマウスがいると、ほかのマウスも身体を引っ掻き始めることを実験で確かめた。かゆみの伝染には、脳の視床下部が関わっているという。

 

 ワシントン大学医学部かゆみ研究センターのチェン・チョウフォン所長は、マウスにかゆみを誘発させるヒスタミンを注射して、身体を掻き続けるように操作し、そのようすをほかのマウスに見せたところ、見せられた方のマウスも、やがて身体を掻き始めることに気づいた。

 

 マウスの脳内活動を調べた結果、自律神経をつかさどる視床下部の特定の領域の神経細胞が活発化し、「ガストリン放出ペプチド(GRP)」というホルモンが分泌されると、自分の身体をひっ掻く動作を始めることを突き止めた。そこで、このホルモンを分泌しないように遺伝子操作したマウスで同じ実験を行ったところ、今度は仲間の行動を見せても、身体をひっ掻くことはしなかったという。

 

 次に「ガストリン放出ペプチド(GRP)」そのものをマウスに注射したケースでは、1時間あまり激しく身体を掻き続けたという。チェン教授は、「かゆみは、脳の神経回路によって同じ集団内に伝染する」と述べて、「身体を掻くマウスが1匹いると、仲間にもノミやダニが寄生する恐れがあるとして、手遅れになる前に虫を追い払おうと自衛本能が働くのではないか?」と推測している。

 

 人間をはじめ、サルや犬、オオカミの集団では、誰かがあくびをすると、それが家族や友人に伝染するケースがある。あくびの伝播は「社会的共感」に結びついていると指摘する研究者もいるが、「かゆみの伝染」は、あくびとは対照的だ。

 

 なおこの研究成果は、米科学振興協会(AAAS)発行の『サイエンス誌』電子版に9日付で掲載された。

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