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誰でも「料理上手なリケジョ?」になれる究極兵器「ANOVA」

科学のメスが料理界を変えた

 21世紀は、世界の料理界にとって「激動の世紀」となった。

 

それは遂に料理の世界に「科学のメス」が入ったこと。

 

「科学的調理法」とか「分子ガストロノミー」とか呼ばれるムーブメントが、数世紀にわたって料理界の「巨匠」とか「親方」たちが作り上げてきた「料理の神話」を破壊していった。

 

(巨匠)「ステーキは強火で、表裏を返すのは1回だけ。」 → (科学)「ステーキは30秒に1回ずつ頻繁に表裏を返し、焼く方がおいしい」

 

(親方)「昆布の出汁(だし)は前の晩から水に浸けて取るのがよい。」→(科学)「昆布の出汁は60度で1時間煮るのが最適」

 

と言った具合に、誰も逆らえなかった「先人の教え」を科学的実験が次々に打ち砕き、世界の最先端のシェフたちは、まるで理科の実験室のような厨房で「新しい食」を生み出していった。

 

世界最高のレストランに選ばれたエル・ブリのフェラン・アドリア(スペイン)、英国で最も予約の取れないレストラン、ファット・ダックのへストン・ブルメンタール(英)、ミシュラン三ツ星を獲得したフレンチ・ランドリーのトーマス・ケラー(米)…

スターシェフと同じ料理が作れる

 「そんな最先端の料理のはなし、ウチには関係ないでしょ?」

 

いや、それが大アリなのだ。

 

例えばトーマス・ケラーの場合、西海岸ナパにあるフレンチ・ランドリーと東海岸ニューヨークにあるパーセの2つのレストランでミシュランの三ツ星を獲得している。

 

西海岸と東海岸に同時にトーマス・ケラーがいることはできない。

 

にも関わらず、どちらも三ツ星を取れるということは、つまり「他の人が真似をして、スターシェフと同じ料理を作ることができる」ということの証明なのだ。

 

そう、「科学的調理法」は「理屈」なので、誰かが作り方を教えて、同じように作れば完全に再現することが可能だ。

 

温度計で温度を計り、計量カップで量をきちんと決め、タイマーで時間を測る手間さえいとわなければ、どんなに料理下手でも美味しい料理が作れることになる。

 

まさに「計測すること」に慣れている「リケジョ」こそが「お嫁さんにしたい女性」の最有力候補になる時代が到来しているのか。

低温調理の時代がやって来た

 そんな世界的ムーブメントに敏感な、料理上手の女性たちが近年、注目しているのが「低温調理」。

 

例えば美味しいステーキやローストビーフを作るためにはどうしたらよいか?

 

肉の筋原繊維の中には、ミオシンとアクチンという2種類のタンパク質がある。

 

加熱されたミオシンは収縮して、肉を焼いた時のあの美味しい食感を生み出すが、一方のアクチンは元来水分を多く含んでいるので加熱され収縮すると水分が外に放出されてしまう。

 

この時、うま味成分も一緒に流れ出してしまうので、肉汁がなくなりパサついて硬く、美味しくないステーキやローストビーフは、このアクチンに熱を加えすぎたことに起因する。

 

ちなみにミオシンが変性し始める温度は50度、アクチンが変性し始める温度は66度だから、50度から66度の間の温度で加熱できれば、誰でもそれなりに美味しいステーキやローストビーフを作ることが可能だ。

ヨーグルトメーカーで低温調理

 

(美味しさの秘密にはもう一つ「メイラード反応=肉が褐色に焦げる時の反応」があるので、最後に強火で軽く表面を焼く処理が必要となるが)

 

「そんな微妙な温度調整どうやってやるの?」

 

こうした疑問に答えるのが「低温調理器」と呼ばれる調理器具だが、実際に国内で家庭用に使える製品はごく限られている。

 

だから料理敏感女子たちが、これまで利用してきたのは微妙な温度調節が可能な「ヨーグルトメーカー」。

 

しかし、これは元々ヨーグルトを作るものだから、25度〜70度くらいまでしか温度調節できないなど、低温調理器として使おうとすると難点もいろいろある。

 

もう一つは低温スチーム機能が付いている高級レンジを使うという手もあるが、いわゆる低温調理では数時間加熱し続けると言ったレシピも多くあり、家庭用レンジの水タンクでは容量が少なすぎるという問題点がある。

4年で130億円の価値を生んだヒット商品

 しかしこの状況を打開する画期的な製品が登場した。

 

 

ANOVA Precision Cooker

(略してANOVA(アノーバ))

 


2013年、サンフランシスコで誕生したベンチャー企業が作った製品で、翌年にはクラウドファンディング「kickstarter」で2億円以上を集めて販売がスタート。

 

そしてついに今年(2017年)、世界的電気メーカー「エレクトロラックス」がこのベンチャーを約130億円で買収するまでに成長したというほどの、米国では大ヒット商品なのである。

(国内で極めて認知度が低いのが不思議なくらいの革命的商品だ)

 

さてこのANOVAだが、一言で言うと映画スターウォーズに出てくる「ライトセーバー」の柄の部分のような形をしている。

 

一見してとても「キッチン用品」には見えないSF的フォルム。 

ANOVAの使い方

 これを、水をたっぶり入れた寸胴鍋かパスタ鍋のような手頃な大きさ(高さ)のある鍋に固定して、加熱温度と時間(タイマー)をセットしてスイッチオン。

 

水に浸かっている部分には加熱するフィラメントとスクリューが内蔵されており、水を対流させて全体を均一な温度に保ちながら、設定温度まで加熱を開始する。

 

一方で調理する素材(例えばローストビーフの肉塊とか)は、下ごしらえをした上で、水が入らないようなジップロックなどに詰めておく。

 

ここで注意しなけれいけないのが、ジップロックの中に空気が入っていると熱伝導効率が悪くなり、狙った温度にならないから、中の空気を抜いておく必要があり、これがけっこうめんどくさい。

 

だが世の中、「低温調理」≒「真空調理」ということになっているようで、ANOVAを持っているような料理敏感女子なら、大抵は真空パック器も持っていたりする。

 

と言うことで、最もおすすめなのは真空パック器で素材を真空パックして、ANOVAに投入というパターンだ。

 

これだと鍋の中の水に液漏れすることもなく、「後でANOVAの掃除が大変」という大惨事も防ぐことができる。

 

ちなみに筆者もパナソニック製真空パック器&ANOVAのコンビで、実験的調理にチャレンジしているが、すこぶる快適なキッチンライフを満喫している。

Wi-Fi経由 スマホアプリでセットOK

この「ANOVA」、アメリカのベンチャー企業の製品らしくアプリをインストールすると、Wi-FiもしくはBluetooth経由でスマートフォンから温度・時間設定ができる。

 

まさに「スマート調理器具」。

 

このアプリには様々なレシピがあるから(全世界のユーザーたちからご自慢のレシピも投稿されている)、そのレシピを選択してスイッチオンすればよいだけの心配いらず。

 

ちなみに筆者のマイレシピは以下のとおり。

 

 

ローストポーク 63度・2時間

 

鶏のコンフィ  75度・3時間

 

 

(実際にはブライニングなどの下処理も事前にしているが、ここはレシピサイトではないので、細かい手順はあえて割愛)

セットしたら遊んでいてください

火を使っているわけではないから、ずっとそばに立っている必要もない。

 

キッチンを離れ、テレビを見たり、子どもと遊んだりしていると、ANOVAから「完成しました」とスマホに連絡が入る。

 

真空パックから素材を取り出して見ると、あら不思議、うっすらとロゼに輝く肉汁たっぷりジューシーなローストポークやほろほろと肉が崩れるコンフィの出来上がり。

 

あとはフライパンで表面に適当な焼き色をつければフィニッシュとなる。

 

これまでローストポークやローストビーフがうまくできないのは「レストランのような良質の肉が手に入らないからだ」と思っていたが、ANOVAで作ると、スーパーで買った安い肉でも「こんなにおいしいのか」と思える仕上がりになるところが「科学的調理法バンザイ!」である。

真空パック器は低温調理器とセットです

Amazonでこの「ANOVA」を見ると、並行輸入品やらあって、お値段は1万円台後半から2万円台ってところ。

 

真空パック器は1〜2万円だから、ANOVAと二つ合わせてもご予算は5万円弱。

 

「最近、なんだか料理が好きになって…」とか言って、数万円もする外国製の高級「煮込み鍋」を買おうとしている女子がいたら、筆者なら全力で止めて「ANOVA」&真空パック器のセットをおすすめするだろう。

 

だってその方が使える範囲がはるかに広くて、かつ、どんな料理下手でも「失敗知らず」の逸品ができるから。

 

これからエレクトロラックスが日本でも「日本語版」を売り出し、家電量販店の店頭に「ANOVA」が並ぶようになれば、近い将来どこの家庭のキッチンにも「低温調理器」があるのが当たり前という時代が到来するのか。

 

最後に一言。

 

せっかく買ったのに「あまり使うことがない」とか言って棚の上でホコリをかぶっている「真空パック器」、おたくにありませんか?

 

そりゃそうでしょう。

 

いまさら気づいたんですが、真空パック器って、本当は低温調理器とセットで使うものだったんですよ。

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