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人工飼育されたアホウドリの子ども 小笠原に里帰りして母に挨拶

 生息数が激減している国の特別天然記念物アホウドリについて、繁殖活動を進める山階鳥類研究所は、人工飼育された親鳥から生まれ、3年前に巣立った1羽が小笠原諸島に戻ってきたと発表した。1930年代に小笠原諸島で絶滅したアホウドリが、島に帰還したのは約80年ぶり。

 

 同研究所によると、この個体は2014年に小笠原諸島の媒島(なこうどじま)から巣立ち、島から5キロ北に位置する聟島(むこじま)に今年3月1日、成長した姿で確認された三歳二カ月のメス「M170」。

 

 島の北西の飼育場所を300メートルほど離れた地点から望遠鏡で観察していた出口智広研究員が、飛来したM170が母鳥に接近するようすを確認した。

 

 明治以前は膨大な数が生息していたアホウドリは、羽毛を狙って乱獲が進み、戦後は絶滅したと考えられていた。その後の再発見で、現在の繁殖地は、伊豆諸島の鳥島と尖閣諸島の南小島の二カ所を残すのみとなった。

 

 しかし、火山島である鳥島は、常に噴火の危険と隣り合わせであることから、山階鳥類研究所では、小笠原諸島で第三の繁殖地を作るプロジェクトを進めてきた。

 

 2008年から5年間で、伊豆諸島から小笠原諸島に移送・人工飼育された70羽のヒナのうち69羽が巣立って行った。2012年に人工飼育で育ったオスと、野生のメスとの間で初めて産卵が確認されてからは、人工飼育個体の里帰りが少しずつ報告されており、これまでに三組のペアに4羽のひなが生まれている。

 

 今回は、人工飼育された69羽の子どもの世代にあたるが、出口智広研究員は、「人工飼育が本当の意味で成功したことを示すものであり、繁殖地を作るプロジェクトがさらに一歩前進したと評価したい」と話している。

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