医療技術

ギャンブル依存症「脳機能低下」ハイリスクハイリターン選びがち どうなるカジノ法案?

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の整備に向けて、政府は具体的な政策の検討を進めているなかで、京都大学の研究グループは、ギャンブル依存症患者はリスクを避けるべき状況でも、不要なリスクを選ぶ傾向が強く、脳の一部の活動が低下していることを明らかにした。

 

 ギャンブル依存症とは、金銭的なトラブルを抱えていてもギャンブルをやめられず続けてしまう状態のことで、これまでの研究では、常に過剰にリスクを好む性格的なものだと考えられてきた。

 

 折しも政府・自民党は昨年12月、“カジノ法案”とも呼ばれる「IR整備推進法案」を成立させ、現在、安倍晋三首相が本部長を担う「IR推進本部」で、カジノの運営方法などを盛り込んだ具体的な法案作りりに向けて検討を進めている。

 

 こうしたなか、京大大学院の高橋英彦准教授らの研究グループは、ギャンブル依存症と診断された男性患者21人と、健康な成人男性29人を対象に、二者択一のゲームに参加してもらって、プレイ中の脳内の活動をMRI検査で調べた。

 

 ゲームは、「ハイリスク・高得点」と、「低リスク・低得点」の二つの条件からひとつを選択する設定。各ステージを20回繰り返して、それぞれのステージごとに定められたノルマを達成すれば、次のステージに進める仕組みだ。

 

 実験の結果、治療期間が6カ月未満の患者11人は、リスクを選ばなくても、クリアできる条件でも不必要にリスクが高い選択肢を選ぶ傾向が強いことがわかった。

 

 プレイ中の脳内の血流をMRI検査で調べたところ、ギャンブル依存症の患者は、前頭前野にある状況判断や計画性、行動のコントロールに関する領域と、想像を担う部分の結合が弱く、リスクの選択をうまく切り替えられない可能性が高いことがわかったという。

 

 今回の研究成果を受けて、高橋准教授は「今後は脳に直接、物理的な刺激を加える治療法について開発を目指したい」と話している。なおこの研究成果は、英医学誌『トランスレイショナル・サイキアトリー(Translational Psychiatry)』電子版に掲載された。

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