感染症

下水処理場で未知の巨大ウイルス発見 宿主の遺伝情報を取り込んで進化?

 感染症や食中毒のニュースに登場する「細菌」と「ウイルス」の違いをご存知だろうか?

 

 どちらも顕微鏡でしか見えない存在だが、「細菌」が栄養や水で増殖する単細胞生物である一方、「ウイルス」はDNAとRNAの遺伝子をタンパク質の殻の中に持つ非生物。大きさを比べても、細菌が1ミリの1000分の1の1マイクロメートル(μm)に対し、ウイルスはそれより1000分の1小さな1ナノメートル(nm)だ。

 

 米国エネルギー省共同ゲノム研究所のチームは今月7日、米科学誌『サイエンス』に、オーストリアの下水処理場の水から、巨大な未知のウイルスを発見したと発表した。

 

 研究チームは当初、ウィーンの北に位置するクロスターノイブルクの下水処理場で、有毒なアンモニアを分解して、無害な硝酸塩に変える「ろ過バクテリア」について調査を実施。採集した水の遺伝子配列を解析した結果、細胞のようにタンパク質を合成するウイルスを見つけた。

 

 このウイルスは、自然界に存在する20種類のアミノ酸のうち、19種類の合成に関わる運搬役のRNAを持っていて、汚水処理場の水に生息する微生物を宿主として、そこから遺伝情報を取り込んで大きく進化した可能性が高いという。

 

 これまで発見されたウイルスの中で、最大のものはフランスの研究グループが発見した750ナノメートルの「ミミウイルス」や、チリ沖の海水から見つかった「メガウイルス・キレンシス」だとされるが、今回発見された新しいウイルスのサイズはそれらを上回るという。

 

 ウイルスは、細菌のように自己増殖できないが、他の細胞を宿主にして(=感染)複製を作っていく。共同ゲノム研究所のチームは、「人間の死体をつなぎ合わせて生まれたフランケンシュタインのような巨人ウイルスだ」と話している。

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