医療技術

震災や事故などの「トラウマ記憶」睡眠中に音で消す 筑波大がマウスで実験

 震災や事故など強烈なショック体験が強い精神的ストレスとなって、繰り返し蘇る「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」について、筑波大学の研究グループは、マウスの実験で、睡眠中にトラウマに関連する音を聞かせることで、つらい記憶を弱めることに成功した。PTSDが起きる脳内のメカニズム解明や、治療法の開発に結びつく成果だとして注目が集まっている。

 

 筑波大・国際統合睡眠医科学研究機構の坂口昌徳准教授らは、箱に入れたマウスに特定の音を聞かせた直後に、軽い電気ショックを与えることで恐怖を植え付ける実験を実施。ショック後、マウスは音を聞いただけで怯えるようになった。

 

 さらに電気ショックを与えた4時間以内に、睡眠中のマウスが起きない程度の音量で同じ音を聞かせた。すると24時間後、睡眠中に音を聞かせたマウスでは、聞かせなかったマウスに比べて、怯える反応が弱まっていた。

 

 次に、レム睡眠とノンレム睡眠にそれぞれ同じ音量を聞かせたマウスを比較したところ、脳が休んでいる状態が続くノンレム睡眠中に音を聞かせた場合だけ、怯えた反応が弱まることが明らかになった。

 

 研究グループは、「マウスの実験から、PTSD患者に苦痛を与えることなく、睡眠中に治療できる可能性があることがわかった。今後は、トラウマ記憶がどんな脳のメカニズムで弱められたのか解明していく」と話して、新たな治療法の開発に結びつけたいとしている。

 

 なおこの研究成果は、英科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』電子版に12日付で掲載された。

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