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オーロラとともに現れる 紫色のビーム 名前はスティーブ!

 満天の星空を彩る幻想的なオーロラに一筋の紫色の光。これまで「陽子オーロラ」の一種だと信じられていた光のビームが、未知の現象であることがこのほど判明した。

 

 カナダ・カルガリー大学のエリック・ドノヴァン教授は、地元アルバータ州に現れるオーロラを撮影し、Facebookに投稿している市民グループ「Alberta Aurora Chasers」との交流を通じて、この不思議な現象に気づいた。

 

 オーロラは、太陽から吹き出す太陽風の中のプラズマ粒子が、地球を取り巻く大気の上層にある電離圏に入り込んで、大気中の酸素や窒素とぶつかって発光すると考えられている。

 

 光のカーテンにたとえられるオーロラは、その形状によってバンド(帯)とかコロナ(王冠)などと区別されるが、この紫色の光は弧を描いて見えることから、市民グループはこれまで「プロトン・アーク(弧)」の一種だと考えていたという。

 

 プロトンとは「陽子」のことで、電気を持った水素粒子を意味する。しかし、ドノヴァン教授は「陽子オーロラ」の光は目には見えないとして、この光が未知の現象だと指摘。市民グループがこれまでに撮影した数々のオーロラ写真を調べ、地磁気を観測するためのSWARM衛星のデータと照らし合わせた。

 

 この衛星は地球の磁場を観測する目的で、欧州宇宙機関(ESA)が2013年に打ち上げたもの。上空の異なる高度で3基が同時に観測することで、地球の磁気圏に影響し、通信障害などを引き起こす太陽風について調べている。

 

 衛星データと照合した結果、2016年にバンクーバー近くでとらえられたビームの正体は、地上から300キロ上空で、秒速6キロの高速で流れるガスだと判明。その温度は3000℃と、周辺の大気に比べて桁外れに高く、移動速度は600倍だという。

 

 ドノヴァン教授らは「ビームが発生するメカニズムはまだわからないが、周辺の大気とは明らかに異なる性質を持っている」として、この現象を新たに「スティーブ」と呼ぼうと主張している。唐突に命名された男性名の理由は一切明かされていないのだが、それもまた突然出現するオーロラ・ビームにふさわしい気もする。

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