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白黒の夢を見ていた男が突然カラーになったオドロキの理由 豪州

 白黒?カラー?…あなたがふだん見る夢は何色だろうか?欧米の研究機関はかつて、子供のころに見た映画やテレビが白黒だった世代では、白黒の夢を見る人が多く、その反対に、カラーテレビ普及後は、カラーの夢を見る人が多くなるというユニークな調査結果を公表しているが、眼のがんを患ったオーストラリアの59歳の男性は、放射線療法を受けた後に、突然夢に色がつくようになった。

 

 豪州ニューサウスウェールズ州のノースコーストがん研究所(NSW)の放射線腫瘍医マイケル・J・マッケイ氏が睡眠医学誌『スリープ・メディシン』に報告した症例によると、眼の悪性腫瘍を患って、4週間の放射線療法を受けた59歳の男性が、突然色鮮やかな夢を見るようになった。

 

 報告によると、患者は物心ついてからずっと白黒の夢しか見たことがなかったのに、前頭葉と側頭葉に放射線を4週間放射された直後から、昔のガールフレンドや歴代の愛車、釣り上げた魚の夢に色がつくようになり、驚いて目覚めることが多くなったという。

 

 夢が白黒かカラーかというのは、これまでも多くの専門機関が研究を行なっている。例えば、スコットランドのダンディー大学ではかつて、25歳以下と55歳以上の被験者30人ずつに聞き取り調査を行なった結果、白黒の夢を見ているのは25歳未満では4.4%だったのに対し、55歳以上の世代では、25%近くと多くなった。

 

 また、米心理学会が1993年と2009年の二度にわたって10代から80代までの被験者を対象に行なった調査では、カラーの夢を見ると答えた被験者は、30歳未満が約80%だったのに対し、60代では20%程度にとどまったとして、「カラーテレビの普及によって世代間で夢に違いがある」と結論づけている。

 

 オーストラリアの男性の場合、同国内のテレビ放送が完全にカラーに移行した1975年時点では成人年齢に達していたせいか、これまでの夢はもっぱら白黒だった。

 

 治療に当たったマッケイ医師は「放射線が脳内の神経細胞で発生する電気活動に影響を与えた可能性が高い」と指摘。従来、頭部に放射線を照射する治療の場合、がん末期の脳腫瘍患者が多かったため、夢の色の変化に気づかなかったり、報告の機会に恵まれなかった可能性が考えられるが、59歳の男性はがんの初期段階のため、完治する可能性が高いという。

 

 メルボルン大学で脳の視覚を研究するサイモン・クロッパー教授は、「色覚は脳の中でも比較的影響を受けやすい部分だ」として、脳内の電気活動を調べるために脳波検査(EEG)を受けることで、脳内活動の変化がより詳細に調べられると話している。

 

 マッケイ医師によると、59歳の男性は放射線療法によってがん細胞が小さくなったのを確認した途端に夢の色が再び白黒に戻ってしまったという。

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