生物

人体の骨を食うシカ 研究中に偶然発見される 米テキサス州

 米テキサス州立大学の研究者は2015年、野外で亡くなったヒトの体が、どのような過程を経て土に還るのかを調べる実験中に、驚くべき光景を目にした。草食動物であるはずのシカが、まるで「タバコ」をくわえるように、ヒトの肋骨にかじりつくようすだ。

 

 法医学専門誌『ジャーナル・オブ・フォレンシック・サイエンス』に今月2日、テキサス州立大学法医学人類学研究所の大変興味深い研究成果が掲載された。人骨をかじるオジロジカの姿を捉えたというのだ。

 

 ここで、この研究所について少々触れておきたい。テキサス州サンマルコスにある研究所は、東京ドーム約2個分に相当する世界でも最大級の野外観測施設を誇る。「ボディ・ファーム(死体農場)」と呼ばれるこの施設では、驚くべきことに、人間の死体が腐敗して、土に還るまでの時間や条件、分解プロセスについて専門的な研究を行っている。

 

 研究員の一人、ローレン・メッケルさんらのチームは2015年1月、死後182日を経過した死体を観察中に、むきだしになった肋骨をかじるシカに気づいた。監視カメラはその8日後にも骨にかじりつくシカの姿をとらえたが、同じ個体であるかどうかは不明だという。

 

 メッケルさんは、シカがかじった骨を回収して調べた結果、両アゴがジグザグ動いた痕跡を発見。肉が骨に残った状態を狙う肉食動物やげっ歯類が、鋭い牙を立てて骨に穴を開けてしまうのとは明らかに違ったという。

 

 尻尾の裏の毛が白いことからその名がついたオジロジカは、ふだんは小枝や木の実、穀類などの植物を食べて生活するが、植物が少なくなる冬には、カルシウムやナトリウムなどのミネラル類を摂取するために、死んだ鳥やウサギなどの小動物の骨をかじる姿が報告されている。

 

 人骨をかじるようすは今回初めて確認されたが、研究チームは「野外で見つかる変死体に、説明がつかない外傷が残っている場合でも、シカなどの草食動物による可能性を考える必要が出てきた」と話しているという。

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