感染症
Loading

「プールで下痢」“冷え”じゃなくて塩素に強い寄生虫かも クリプト症に注意

 気温が高くなって夏日となることも多いこの時季、久しぶりにプールで泳いで「お腹を壊した」なんて声も聞くが、原因は“冷え”じゃないかもしれない…。

 

 遊泳用や学校などの一般的なプールは、厚生労働省や文部科学省が定めた衛生基準によって水質管理が義務付けられており、大腸菌やレジオネラ菌を殺菌するための塩素系消毒剤が使われている。

 

 近年、塩素に強い寄生虫「クリプトスポリジウム」が引き起こす集団感染が問題になっており、米疾病予防管理センター(CDC)は18日、クリプトスポリジウム症(以下、クリプト症)の感染件数が、過去2年間で2倍に急増しているという調査結果を発表した。

 

 報告書によると、米国では2016年にアラバマ州、アリゾナ州、オハイオ州などの水泳プールや遊泳施設で計2300人以上が感染。いずれの州でも、その前年までの感染者数を大きく上回った。

 

 国立感染症研究所によると、クリプト症はヒトをはじめとするほ乳類や鳥類の消化管に寄生する原虫で、熱や乾燥には弱いので自然環境の中では感染力を持たないが、口から体内に取り込まれると、激しい下痢や腹痛、嘔吐の症状が1〜2週間続く。高齢者や免疫力が低下している人が感染すると、深刻な症状が長引く場合もあり、死亡した例も報告されている。

 

 米国やスウエーデンなどでは最近も公共水道や噴水、プールなどが原因で、大規模な集団感染例が報告されているが、決して「対岸の火事」ではない。

 

 日本では1996年に埼玉県越生(おごせ)町で水道水を介して地域住民の6割以上の約8800人が集団感染。2004年には長野県のプールで水泳合宿したグループ288人が感染したケースもある。

 

 また北海道では、2013年に帯広市で牧場の自然体験学習に参加した生徒76人が子ウシのクリプトスポリジウムに感染するなど、1999年から2013年までに24件133人のケースが報告されていて、その多くがウシとの接触が原因だとみられている。

 

 現時点でクリプト症に対する有効な治療薬は無く、厚労省は水道施設に対して浄水処理やろ過による除去などの対策を指導している。個人レベルでは、手洗いのほか、浄水器でろ過したり、煮沸した水を飲むようにするなどの予防が重要だ。

あなたにオススメの記事