津波

津波検知なのに「空」から?リアルタイム観測システム NASAが開発

 地震発生から津波到達までをとらえるためには、現在は海底や海岸に設置した計測装置に頼るのが一般的だが、将来は海の変化を空の上からいち早く検知するようになるかもしれない。米航空宇宙局(NASA)とイタリアの研究機関は18日、科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』でGPSの観測データをもとに、津波が引き起こした大気の乱れをリアルタイムで観測するシステムを発表した。

 

 いつ起きてもおかしくない南海トラフ地震や首都直下地震に備えて、日本の沿岸海域や検潮所に設置された観測装置は24時間連続で海の動きを監視している。しかし、東日本大震災では津波が従来の予測を上回る速さで到達し、逃げ遅れた多くの人が津波に巻き込まれて犠牲になった。

 

 伊ローマのサピエンツァ大学とNASAの研究チームは18日、地表から高さ80〜1000キロ上空を取り巻く「電離圏」に存在する電子の数を解析することで、津波をほぼリアルタイムでとらえる技術を発表した。

 

「リアルタイム電離圏観測(VARION)」と呼ばれるこのシステムは、海岸から遠く離れた沖で津波が発生して海を移動し始めると、水面の上下運動と呼応して、大気にも波(重力波)が生まれる。この波が上空300〜500キロに到達すると、電離圏に存在する電子の密度に乱れが生じるという。

 

 研究チームは開発したアルゴリズムを使って、2012年10月28日にカナダ沖で発生したマグニチュード(M)7.8のハイダ・グワイ地震の観測データを解析。この地震では、発生から約5時間後に震源から4000キロ以上離れたハワイ島に津波が到達したが、電離圏の乱れと重力波の解析結果がほぼ一致したという。

 

 研究チームは、「このシステムは、既存のGPS観測データの利用を通じて、津波だけでなく火山噴火や隕石の落下などの危険認知にも応用できる」と話している。

 

 大気中の電子の乱れを解析することで危険予測を行う研究は、日本では京都大学の梅野健教授が2016年に発表している。

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