感染症

吸血コウモリに噛まれた男性 狂犬病で死ぬ ブラジルで40人が被害

 ブラジル北東部の港町サルバドルでは最近、高齢者や子供が吸血コウモリによる被害が相次いでいて、先月には狂犬病を発症した男性が死亡した。研究者によると、この種のコウモリは最近までニワトリや野鳥をエサにするとみられていたが、今年3月以降、すでに40人が被害にあっており、地元ではドラキュラ・パニックが起きている。

 

 南大西洋に面したバイーア州の保健当局によると、サルバドルや周辺のサント・アントーニオ・デ・ジェズースなどの一帯では、3月以降、コウモリに噛まれて救急搬送される負傷者が相次いでいる。

 

 当初、被害は州南西部の農村部に集中していたが、最近では東部沿岸地帯の人口が密集している旧市街地にも飛び火しており、保健当局では狂犬病ワクチンの接種をするよう呼びかけている。

 

 「Diphylla ecaudata(ディフィーラ・エカウダータ)」と呼ばれるこのコウモリは、最近の研究で鳥類以外に人間の血を吸うことで狂犬病ウイルスを媒介することが判明した。

 

 研究によると吸血コウモリに噛まれても狂犬病をすぐ発症する訳ではなく、感染してから症状が現れるまで場合によっては数カ月かかることもあるという。

 

 日本国内では1957年のネコを最後に狂犬病の国内発生例はないが(1970年にネパールから帰国した男性の輸入症例はある)、国立感染症研究所によると、2006年にフィリピンに滞在歴がある男性2人が相次いで発症している。

 

 2006年の国内発症例はフィリピン滞在中に犬に手を噛まれたのが原因だというが、発症すると発熱や咳、鼻水など風邪に似た症状が現れ、やがて「水が怖い」と言って、水を飲んだり手洗いができなくなる。さらに空調などわずかな風が吹いただけで、発作が起こったり、「虫が見える」などの幻覚が見えるようになり、興奮やけいれんを起こして、心肺停止に至る。予防ワクチンはあるが、発症すると治療薬はなく、致死率はほぼ100%。

 

 ブラジルのケースでは長い間人が住んでいない廃屋などにコウモリが巣を作っている可能性が高く、夜間に外出中の高齢者や子供が手足を狙われるケースが多いという。

 

 世界保健機関(WHO)によると、狂犬病はフィリピンや中国などアジアや、ヨーロッパ、南北アメリカ大陸、アフリカなどに分布し、毎年5万人以上が死亡しているという。感染源は犬やコウモリ、サルなど幅広く、海外渡航先ではむやみにこれらの動物には触れないよう要注意だ。

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