地震

南海トラフ震源域で繰り返す「ゆっくり滑り」2011年以降8回 巨大地震の兆候をとらえよ!

 南海トラフ巨大地震の発生が想定されている紀伊半島沖で、深海探査を続けてきた海洋研究開発機構(JAMSTEC)と東京大学のチームは、海洋プレートの沈み込み地帯で断層がゆっくり滑る「スロースリップ現象」が繰り返し起きていることを観測した。

 

 スロースリップ地震は、通常の地震と異なり、プレート境界付近の断層が数日から1年以上かけてゆっくり滑る地殻変動のことで、東日本大震災の前にも発生していたことが明らかにされており、巨大地震発生の兆候を把握できる可能性があるとして実態解明に向けて期待が寄せられている。

 

 海洋研究開発機構の荒木英一郎主任技術研究員と東大の井出哲教授らは、1944年の東南海地震(マグニチュード8)の震源域とみられる三重県の熊野灘で、2016年までの6年間に観測された海底地震計の計測記録と海底に設置した水圧記録を解析した結果、スロースリップが8回発生していたことが判明した。このうち、2011年3月、2015年10月、2016年4月には、2〜4センチの中規模な滑りが発生していたという。

 

 これらの「ゆっくり滑り」は8〜15カ月間隔で繰り返し、それぞれ数日から数週間かけて滑りが続いていた。また、場所については、低周波地震や低周波微動が観測されている沖合だけでなく、陸側に近い地域でも発生していることがわかった。

 

 研究チームによると、「ゆっくり滑り」は、自発的に繰り返すことが多いが、2011年3月の東日本大震災や2016年4月の三重県南東沖地震と熊本地震などの影響を受けて誘発されるケースもあり、自発的な滑りに比べると、ずれ幅が大きい傾向があるという。

 

 南海トラフ沖で今回観測された「ゆっくり滑り」が、短い間隔で繰り返していることから、研究チームは海洋プレートが沈み込む境界で起こる、プレートのひずみを3〜5割程度解放している可能性がある一方、プレート同士が固着している部分では、さらにひずみを蓄積させる可能性もあると指摘し、引き続き観測体制の強化を訴えている。

 

 この研究成果は、米科学誌『サイエンス』電子版に16日付けで掲載された。

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