防犯

蚊の吸血から犯人特定?名古屋大が検証「2日までなら可能」

  そろそろ、アイツが本格的に活動を始める季節がやってくる…。うっとおしい「プ〜ン」という羽音とともに、安眠を妨害するにっくき蚊だ。名古屋大学などの研究グループは、蚊が吸った微量の血から、DNAを抽出して吸った人物を特定できるかどうか実験した結果、2日以内なら可能なことがわかった。DNA鑑定に対する恐怖を感じさせることで、犯罪抑止につながると期待されている。

 

 デング熱やジカ熱をはじめ、マラリアやフィラリア、黄熱病など蚊が媒介する病気は多く、世界保健機関(WHO)によると、毎年1年間に75万人が蚊が媒介する病気で死亡し、「地球上で最も人類を殺す生物」とみなされている。

 

 大日本除虫菊(KINCHO)によると、蚊が1回に吸うことができる血の量は、自分の体重と同じくらいの2mg程度。しかし、通常は人間が動いたり、叩いたりするので、1度で満腹にはなれず、何回も吸っては逃げを繰り返し、満腹になると産卵に向かうという。

 

 名古屋大大学院の石井晃教授らのグループは、キンチョーの中央研究所が飼育箱で育てた感染歴のないアカイエカとヒトスジシマカを使って、7人の被験者の血を吸わせる実験を行った。どれくらいの時間で消化されるのか観察を続けたところ、2種類とも72時間過ぎるとほぼ消化される代わりに、卵巣が成熟することが判明した。

 

 さらに、犯罪捜査で使われている市販の判定キットを使って、吸血後、一定時間が経過した蚊からDNAが抽出できるかどうかを調べた結果、どちらの蚊でも48時間までなら可能なことが判明した。

 

 研究グループは現在、蚊が男女1人ずつから吸血した場合を想定した実験を進めている。今後、事例を増やして個人を識別する精度を高めるとともに、犯行現場で蚊が吸った微量な血が、犯人や犯人に関係する人のDNAを特定する手がかりになることで、犯罪抑止効果につながると期待している。

 

 なおこの研究成果は、米科学誌『PLOS ONE』電子版に掲載された。

あなたにオススメの記事