宇宙

「宇宙で夢の焼きたてパン!」50年来の夢がすぐそこまで…オーブン完成

 

 地球から400キロ離れた国際宇宙ステーション(ISS)で半年近くの長期滞在ミッションをこなす宇宙飛行士にとって、3度の食事は何よりの楽しみ。人類が初めて宇宙に飛んだ50年前と比べて、今では新鮮な野菜や果物など200種類以上の食品を持ち込めるようになったが、無重力空間で粉が飛び散るパンがアウトなのは、当サイトで既にお伝えしたとおり。

 

 世界屈指のパン大国であるドイツの科学者とエンジニアが立ち上げたプロジェクトチーム「BAKE IN SPACE」は先月、ISSに持ち込んでパンを焼く特別仕様のオーブンを発表した。

 

 地球では、200℃のオーブンでパンを焼くが、宇宙で使える電力は地球の10分の1程度。また温められた空気は膨張して上昇し、低温の空気と入れ替わることで熱が対流するが、これも無重力空間では起こらないし、そもそもISS内では温度が45℃を超える道具の持ち込みはご法度だ。

 

 そこで、サワー種(だね)と呼ばれる発酵させたライ麦生地を使うライ麦パンに着目。ライ麦パンはドイツやオーストリア、東欧諸国で一般的に食べられるもので、小麦のパンと比べると、イースト菌を使わずサワー種で発酵させるため、独特の酸味と食感を持つ。

 

 昔のヨーロッパでは、パンを1週間から数カ月おきにまとめて焼いて貯蔵する習慣があったが、ライ麦パンは酸味があるため長持ちする。現在は低温で焼いても美味しい生地の完成を目指して試行錯誤中だ。

 

 「BAKE IN SPACE」の創業者セバスチャン・マルク氏によると、オーブン庫内の圧力を下げて低温で焼きあげる真空ベーキング技術を搭載したオーブンであれば、宇宙でも新鮮なパンが食べられるという。これまで作った試作品では、一定期間保存できて、宇宙ステーション内を汚染するおそれがないものが完成間近だという。

 

 2000年にスペースシャトルに搭乗したドイツ人宇宙飛行士ゲルハルト・ティエルさんは、宇宙滞在中の11日間の食事のことを思い出して「地球では、パンは幸福な人生を象徴しています。宇宙でも地球と同じくらい食生活を豊かにすべきです」と述べて、物理学者の立場で開発プロジェクトに協力している。

 

 また、2018年5月にISSを目指すアレクサンダー・ゲルスト飛行士は、半生状態のパン生地とオーブンの試作品を持ち込んで、宇宙ステーションで初めてのトーストを焼くミッションに挑む予定だ。

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