感染症

脳に寄生し髄膜炎を起こす広東住血線虫 米国で拡大 ハワイ70人感染 過去には沖縄でも…

 ラットやカタツムリを宿主にし、ヒトが感染すると髄膜炎などを引き起こし、後遺症が残るおそれがある寄生虫が米南部フロリダ州各地で見つかり、公衆衛生機関が強い警戒を示している。ハワイでは過去10年間で70人以上が感染しているという。

 

 フロリダ大学とフロリダ自然史博物館の研究チームが科学誌『PLOS ONE』に発表した論文によると、フロリダ州全域で見つかったこの寄生虫は、カタツムリを宿主にする「広東(カントン)住血線虫」と呼ばれるもの。

 

 寄生虫がいるカタツムリをラットが食べると肺炎を起こすことから、一般に「ラット肺炎症」とも言われている。生野菜やジュースの中に入っているカタツムリやナメクジのほか、これらをエサにしている淡水エビやカニ、カエルを生焼けで食べることでも感染。

 

 症状が出ない潜伏期間が1〜3週間続いたあとに、頭痛や吐き気、嘔吐、倦怠感や全身の痛みなど風邪に似た症状が起こり、その後、首が動かしにくくなったり、光が眩しく感じるようになる。深刻化すると髄膜炎を引き起こし、麻痺やけいれん、失明などの後遺症が残る場合もあるという。

 

 研究チームによると東南アジアやカリブ海など熱帯地域に多く見られ、北米には従来生息していなかったが、今回、フロリダ州内の18の郡で、ラットとカタツムリ合計1500匹を調べた結果、北部と中部の5つの郡で寄生虫の陽性反応が確認された。現時点でヒトの感染例はまだないが、ハワイでは過去10年間に観光客など70人以上が感染しているという。

 

 米疾病予防管理センター(CDC)によると、ハワイで感染した患者の多くは、風邪かと思って医療機関を受診しない人も多く、ほとんどは自然に治癒したが、まれに重症化するおそれもあるため、カタツムリやナメクジに汚染された農産物の摂取には注意が必要だとしている。

 

 フロリダ大学・感染症病理学科のヘザー・ストックデール・ウォールデン助教は「温暖化によって寄生虫の生息エリアが広がった可能性が高い」と指摘し、貨物船のコンテナや鉢植えなどにくっついていたカタツムリが温暖なフロリダで勢力を伸ばしたと見ている。

 

 この寄生虫が発見されて以来、世界中では2800人以上の感染例が報告されているというが、実際の患者数はもっと多く、医療機関を受診していないか、誤診された可能性が高いと見られるという。

 

 国立感染症研究所によると、日本ではアフリカマイマイが生息する沖縄で感染例が報告されている。2000年には20代の若者など8人が感染している。

 

 獣医師でもあるウォールデン氏は「レタスやキャベツはよく洗うのが需要ですが、子供やペットは要注意です。カタツムリやカエルに触れた手は必ず洗ってください」と注意を呼びかけている。

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