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ヒンドゥー教のお祝いに?爆竹が招いた失明の危機 インドの44歳男性

 急速に進む都市化の影響で、日本では近年、自宅の軒先や公園で線香花火ですら隣近所への遠慮が先に立つが、中国やインドでは祝い事には爆竹を盛大に打ち鳴らすのが欠かせない。インド北部のチャンディガールで、ヒンドゥー教の新年を祝おうとした44歳の男性が、爆竹の破片が両目に入り、失明の危機に陥った。

 

 インド・チャンディガール大学医学教育研究所(PGIMER)の理事長、ジャガット・ラム医学博士が、国際医学誌『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に6月29日付けで発表した症例報告によると、2015年9月、一足早く新年のお祝いをしようと爆竹に火をつけた44歳の男性は、爆発した破片が両目を傷つけ、病院へ救急搬送された。

 

 視力検査したところ、患者の右目は光を感じることができず、左目は視力の低下で視界がぼやけていることがわかった。

 

 治療したラム博士によると、左目の角膜からは爆発物の破片は取り除くことができたが、CTスキャン(コンピューター断層撮影)検査の結果、右目は角膜の奥深くまで破片が突き刺さり、眼球が破裂して、内部に流れる房水がすべて漏れ出していることが判明した。

 

「眼球損傷直後に治療を受けていれば、傷を縫い合わせることができた可能性もありましたが、この患者の場合は損傷がひどく、最終的に眼球そのものが萎縮して、機能を失ってしまったのです」とラム博士。

 

 左目については、破片を除去して数カ月間は抗生物質と点眼液の投与を受け、今では視力0.5まで回復を遂げた。ラム博士は「眼球の破裂は、外傷だけが原因ではなく、ピント調節に関わる毛様体の炎症や、網膜剥離などでも起こり得ます」と指摘。

 

 インドではヒンドゥー教の新年にあたるディワリの季節(10月〜11月)に合わせて、大量の爆竹や花火を使った祝祭を行うが、最近では大気汚染の原因ともされることから、地域によっては爆竹の販売が禁止されるようになっているという。

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