感染症

美味いのか?セイウチの肉で10人が旋毛虫症に感染 アラスカ…熊肉でも

 豚やイノシシの肉を生焼けで食べると感染する「旋毛虫症」という寄生虫の病気が、米アラスカ州で大流行している。米疾病予防管理センター(CDC)は7日、この1年で発生した二度の集団感染の原因は、「セイウチの肉」だと発表した。

 

 渦巻き状の姿から旋毛虫症(トリヒナ症)と呼ばれるこの病気は、国内では昨年12月、茨城県水戸市の飲食店で「熊肉のロースト」を食べた客15人が集団感染して話題となった。

 

 熊肉が原因の発症は、国内では35年ぶりとして当サイトでも報じたが、ところ変わってアラスカでは、海洋生物のセイウチだというからオドロキだ。

 

 最初の患者が報告されたのは昨年8月。海辺の町に住む10代の女の子が足に痛みと腫れを訴えて歩けなくなり、その村の診療所へ搬送。その後、3週間のうちに兄弟や父親、叔父と叔母が相次いで同じ症状を訴え出したことから、急遽アンカレッジの総合病院で調べた結果、血液中の好酸球が増加し、寄生虫症に感染していることが判明した。

 

 次の感染は今年5月、ノートン・サウンドと呼ばれる沿岸地区に住む5人が重度の筋肉痛や関節痛を訴えて次々と地域の病院に運ばれた。診察した医師は当初、海面状脳症と報告。一般的に「狂牛病」の名前で知られるこの病気は、脳がスポンジのようにスカスカになる病気で、人間の場合はクロイツフェルト・ヤコブ病と呼ばれる。

 

 しかしその後の調査で、5人は一緒にセイウチ漁を行う仲間で、獲れた肉を分けあって食べていたことがわかり、冷凍保存していた肉を検査したところ、旋毛虫が検出されたという。

 

 米国内で発生する旋毛虫症は、1940年代には年間400件近く報告されていたが、多くは加熱不十分な豚肉が原因で、現在の患者数は年間15例程度。10人の患者はすでに回復しているが、従来、セイウチの肉が原因の症例はほとんどなかったため、特定に時間がかかったものとCDCは指摘している。

 

 旋毛虫症は、発症すると発熱や発疹、筋肉痛、まぶたの腫れなどの症状のほか、深刻化すると歩けなくなったり、神経症や心肺機能障害が起こる。日本の国立感染症研究所によると、予防は十分な加熱調理しかないという。

 

 マイナス15℃〜25℃で10〜30日間冷凍すると、肉の中の幼虫が死滅するとも言われるが、寒冷地に生息する野生動物の寄生虫は、寒さに強いものもあるため、完全ではない。セイウチを食べる機会はそうそうないが、日本では最近、ジビエブームでさまざまな狩猟肉が流通している。北米やヨーロッパでは、鹿やイノシシも感染源とされていて、熊肉同様、注意が必要だという。

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