生物

脅威の生命力ヒアリ 水上タワー築き 洪水生き延びる動きを撮影 米国

 5月26日に兵庫県尼崎市の神戸港のコンテナで発見されて以来、名古屋港や東京港など国内各地でヒアリの確認が相次ぐなか、米ジョージア工科大学の研究チームは、ヒアリが仲間を足場にして水上にピラミッド型のタワーを作り、洪水をも生き延びる過程を観察。生命力の強さに驚くとともに、ピラミッドを築く動きから、捜索救助ロボット開発へのヒントをつかんだ。動画も合わせて見て欲しい。

 

 世界最大の熱帯雨林ブラジル原産のヒアリは、アマゾン川があふれて洪水になっても、1週間以上にわたって水に浮かんで生き残る生命力で、今や米国南部やオーストラリア、ニュージーランド、中国、台湾、マレーシアへと生息範囲を広げていて、世界の侵略的外来生物にも選ばれている。

 

 その強い毒性や攻撃性についてはハザードラボでもご紹介済みだが、ジョージア工科大のクレイグ・トーヴィー教授ら機械工学科のチームは、ヒアリの群れが塔を作る建築能力に着目。

 

 アリ1万匹を水が入ったシャーレに集め、逃げ出さないように薬剤を塗った透明のボックス内に設置し、どういう動きをするのか撮影したところ、仲間の体を土台にして、数分でエッフェル塔のようなタワーを作り始めた。観察には1時間も撮影すれば十分だったが、ビデオのストップボタンを押し忘れ、最終的には250分間のデータが得られた。

 

 そこで10倍速で早送りしながら動画を見ていたところ、学生のひとりがあることに気づいた。アリのピラミッドは中央部分がゆっくりと沈みながら、上層部のアリが仲間を足場にしてノンストップで上へ向かって登り続けていたのだ。

 

 「永久機関を見ているようで陽気な気分になりました」と研究チーム。アリの数を2倍に増やしても同じような行動が見られたという。

 

 チームはアリがどれくらいの重量に耐えられるか調べたところ、体重1mgのアリは自分の750倍の重さを支えられ、最も安定するのは背中に3匹が乗る体勢だと結論づけた。

 

 さらに、5000匹のアリに造影剤を混ぜた飲み水を与えて、タワー作りの工程をレントゲン撮影し、タイムラプス動画を作成した結果、アリたちは上部から下へ登ったり沈んだりを繰り返して、タワーの形状を維持し続けていることがわかった。底に沈んだアリも押しつぶされることなく、素早くタワーの表面に抜け出すと、再び頂上まではい上がることで、水上でも長期間生き続け、水が引いた時点で陸上に新たなアリ塚を作り始めるという。

 

 現在、ヒアリによる生物テロに怯える我々にはゾッとする話だが、生物の生態を模倣するロボット技術を研究しているトーヴィー教授はひと味違う。災害現場で倒壊した建物のガレキの間を移動する小型ロボットの開発に、ヒアリの動きを応用できないかと画策しているというから驚きだ。

 

 この研究成果は、英王立協会が発行する科学誌「ロイヤル・ソサエティー・オープン・サイエンス」に7月12日に掲載された。

 

 なお、ヒアリについて詳しく知りたい人は、兵庫県立「人と自然の博物館」で9月3日まで実物標本や在来種との見分け方を展示しているので、お近くの人はこちらもチェックしよう!

 

あなたにオススメの記事