歴史

キャンプ用折りたたみベッド 最初に使ったのは古代エジプト王 日本人が解明

 本格的なアウトドアシーズン到来で、この夏休みはキャンプやバーベキューを計画している人も多いはず。第3次アウトドアブームと言われる現在、防災や避難生活にも活躍しそうな多くの便利グッズやアイテムが登場しているが、なかでも注目が、野外でも自宅同様の寝心地が楽しめるキャンプ用ベッド。最近の研究で、歴史上最初にキャンプ用ベッドを使ったのは、古代エジプトのツタンカーメン王である可能性が日本人研究者によって明らかにされた。

 

 カイロで最近開かれた国際会議で発表された報告によると、1922年に英国の考古学者ハワード・カーターが、王家の谷でツタンカーメンの墓を発掘した際、硬い木材で作られたユニークな折りたたみベッドを発見したという。

 

 このベッドは、副葬品の中から見つかったほかの5体のベッドよりもずっと小さく、床面が低いため、これまであまり注目されてこなかったが、最近の研究で当時としては驚くべき精巧な技術で作られていたことが判明した。

 

 武蔵野大学の非常勤講師で古代の木工家具について研究している西本直子氏によると、このベッドはツタンカーメン王のためだけに作られた3つに折りたためるベッドで、木製のフレームに麻糸を編んだマットが張られている。

 

 注目はライオンの足のような形の脚部につけられたヒンジ(蝶番)構造だ。中央マットの補助脚部分には、360度回転できるダブルヒンジが取り付けられ、頭とつま先部分の脚部には、ストッパーがついたシングルタイプのヒンジがつけられている。古代の職人が試行錯誤して作った独創的なヒンジによって、3枚のマットがZ型に折りたためるよう工夫されているという。

 

 西本氏によると、古代のファラオは遠征や狩猟に出かける際に折りたたみベッドを持って移動したことが知られているが、ツタンカーメン以外の王の墓からは、2つに折りたたむタイプのベッドしか出土していない。

 

 これまでの調査で、若き少年王は、骨折にマラリアが重なって死亡した可能性が高いと言われている。生まれつき足が不自由で、杖をついて歩いていたが、狩猟やキャンプは好きだったと考えられている。西本氏は「ツタンカーメンの墓が発見されて、カーターがスケッチを残してから100年近く詳しい研究はされてこなかったが、このベッドには若い王の願望が託されている」と指摘している。

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