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「川で産気づいた!」ゾウの水中出産 仲間がワニから守る 南アフリカ

 ほ乳類の中で妊娠期間が最も長い動物をご存知だろうか?…答えはゾウで、赤ちゃんは母親の胎内で約680日、22カ月過ごすという。南アフリカの鳥獣保護区では、川で水を飲んでいた妊娠中のゾウが産気づき、急きょ水中出産することになった。水の中に潜むワニから母子を守るために、仲間が一致団結して守る姿がとらえられた!

 

 この奇跡の瞬間の撮影に成功したのは、米国人の野生動物写真家ダン・ストレックさん。最近、南アフリカ北東部のクルーガー国立公園の川辺で水を飲んでいたアフリカゾウの群れを撮影中、突然目の前で出産が始まった。

 

 周辺の水辺は、現地の言葉で「ゾウの川」と呼ばれるほど、野生のアフリカゾウがたくさん集まる場所で、特にオリファンツ川の周りはエサとなる柔らかな草が青々と茂っていることから、出産を間近に控えたメスの姿がよく見られる場所だ。

 

 流れもそれほど速くなく、人間の膝くらいの深さの川辺で写真を撮影中、突然、一頭のメスのお尻からシャボン玉のような膜が現れるのにダンさんは気づいた。「アレはなんだろう?」不思議に思って、デジタルカメラのモニター画面を拡大しようとした瞬間、母親ゾウの周囲に仲間が静かに集まってきた。

 

 そして次の瞬間、羊膜嚢に包まれた赤ちゃんゾウが川に落ち、鮮血が川の水を赤く染めた。赤ちゃんゾウは頭から水の中に落ちたが、すぐに年かさのメスゾウが、器用に鼻を使って赤ちゃんの頭を水面から持ち上げて呼吸できるようにした。

 

 赤ちゃんゾウが産声をあげている間、仲間は辛抱強く周りを取り囲み、いつ襲われるかわからないワニから母子を守った。1時間あまりして赤ちゃんの足に力が入り、川岸に向かって歩み始めたとき、ダンさんは感激のあまり涙が止まらなかったという。

 

 アフリカゾウを研究する『Elephants Alive』の専門家マイケル・ヘンリー氏によると、野生のゾウが水中出産することはめったになく、仲間の協力なしには成功しないという。

 

 生まれたその瞬間から仲間に祝福された赤ちゃんゾウ、健やかに成長してほしい。

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