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閲覧注意!血の汗を流す女性 イタリアで発見 キリストと同じ症状

 カバは汗腺を持たないため、汗の代わりに血のような色の粘液を出して皮膚の乾燥や日焼けを防ぐことはよく知られているが、イタリアからは、本物の血の汗を流す女性の症例が報告された。カナダ医師会の会報誌『Canadian Medical Association Journal』に今月23日発表された。

 

 伊フィレンツェ大学病院の皮膚科医ロベルト・マリエ医師の報告によると、この患者は21歳の女性で、顔面や手のひらから血液が混じった汗をかくという症状が、18歳の時から続いている。皮膚に切り傷やすり傷はなく、睡眠中や運動中には出血しないが、怒りや悲しみなど強いストレスを感じると血の汗をかくようになり、それは1分から5分ほど続くという。

 

 患者はいつ血の汗をかくかわからないため、自宅から一歩も外に出なくなり、パニック障害とうつ病を発症。治療チームは抗てんかん薬と、うつ状態を改善する効果がある薬を処方したが、一向に症状が改善されないため、入院することになった。

 

 汗の成分について調べたところ、赤血球の存在を確認。皮膚の細胞組織に特段の異常はなく、「血汗症(hematidrosis)」だと診断を下した。米国立衛生研究所の「遺伝的及び稀少疾患情報センター(GARD)」では、血汗症を皮膚から血液がにじみ出る非常に珍しい病気だと定義している。

 

 この症状については古くから知られていて、米クイーンズ大学で医学史を研究しているジャカリン・ダフィン教授によると、カポジ肉腫(皮膚がん)を発見した19世紀のハンガリーの皮膚科医モリッツ・カポジも、文献で「汗腺から血が流れる病気がある」と報告しているが、原因についてはいまだ明らかになっていない。

 

 聖書では、ユダの裏切りにあったイエス・キリストが十字架にはりつけにされる前夜、ゲッセマネの祈りの際に血の汗を流したと記述されているほか、レオナルド・ダ・ヴィンチが残した文書にも、戦闘前の兵士や死刑宣告を受けた罪人が血の汗を出したと記述されており、極度の恐怖やストレスを経験した際に出現する身体反応だと考えられている。ダフィン教授によると1880年以来、43件の症例報告があり、このうち半数以上が過去13年間で確認されたものだという。

 

 イタリアの21歳の女性には、「プロプラノール」という血圧を下げる治療薬を処方した結果、完全に治ったわけではないが、血の汗が出ることが少なくなったという。

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