医療技術

ジーンズの染料インディゴ 潰瘍性大腸炎の治療に有効 慶應大

 近年では、お正月だからといって和服を着る機会もめっきり少なくなって、元日からジーンズ姿で過ごした読者も多いことだろう。慶應義塾大学医学部のグループは、ジーンズを藍色に染める染料が、潰瘍性大腸炎の治療に有効であることを臨床実験で実証したと発表した。

 

 ジーンズが、インディゴによって藍色に染められていることはよく知られている。天然のインディゴは、タデ科のアイなどの植物を利用して抽出されるが、その粉末は古くから「青黛(せいたい)」と呼ばれ、漢方薬として使われてきた。

 

 中国では潰瘍性大腸炎の治療薬として青黛を含む漢方薬が使われてきた経緯があることから、日本国内でもインターネット情報や口コミの噂を信じて、民間療法として個人で服用する人も少なくない。

 

 2016年には、潰瘍性大腸炎の50代の男性患者が、自己判断で市販の青黛を摂取し、約一年後に「肺動脈性肺高血圧症」を発症したケースも報告されており、厚生労働省が注意喚起する事態に発展した。

 

 慶應大の金井隆典教授と長沼誠准教授らのグループは、中レベル以上の潰瘍性大腸炎患者86人を対象に、青黛のカプセルを8週間投与する実験を行なった。

 

 実験では1日に0.5g、1g、2g服用する被験者と、有効成分を含まない偽薬(プラセボ)を与えられる被験者に分けて調べたが、プラセボ群の効果は14%以下にとどまったのに対し、青黛を服用した患者は約70〜80%と高い効果が確認された。また症状の消失を示す寛解率や大腸の粘膜の治癒率も高い有効性があったという。

 

 一方、臨床試験を行った8週間で、深刻な副作用は確認されなかったが、5%の患者が一過性の肝障害、頭痛、胃痛、腹痛、吐き気などの症状を訴えたという。

 

 国内には現在16万人以上の潰瘍性大腸炎の患者がおり、増加傾向にある。さまざまな治療薬により、治療成績は大きく改善しつつあるものの、既存の治療薬で効果がない患者は、大腸の全摘出を余儀なくされている。

 

 今回の試験結果を受けて研究グループは、「既存の治療薬とはメカニズムが異なる青黛を使った新規治療薬の開発が期待できる」としながらも、「安全面では懸念が残るため、患者が自己判断で服用するのは推奨できない」と述べて、引き続き安全性の検証を進めていくと話している。

 

 なおこの研究成果は、米国の消化器疾患の専門誌に掲載された。

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