外交

「北朝鮮が非核化にコミット」どんな意味?日本政府の言葉選びに違和感

 米トランプ大統領は9日、安倍晋三首相と電話会談を行い、南北会談の結果を受けて、「大統領みずから金正恩委員長と会う用意がある」と伝えた。菅義偉官房長官は会見で「北朝鮮が非核化に“コミットした”と説明を受けた」としているが、政府高官が口にする「コミットした」という表現に違和感を抱く人が少なくない。

 

 韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウイヨン)国家安全保障室長は8日、米ワシントンを訪れ、今月5日の南北会談で金正恩委員長から預かったメッセージをトランプ大統領に伝え、米朝会談の実現に向けて働きかけた。

 

 トランプ大統領は9日午前8時50分過ぎから約30分、安倍首相と電話で話し、韓国から受けた報告内容について説明したうえで、「自分としても金委員長と会う用意がある」という考えを示した。(下はトランプ大統領のツイッターより)

 

 

 安倍首相は北朝鮮の変化を評価しつつも、「北朝鮮が完全で、検証可能かつ不可逆的な非核化に向けた具体的な行動を示すことが必要だ」と指摘すると、トランプ大統領から「制裁と軍事的圧力は今後とも継続していくことは当然だ」との意見を引き出した。

 

 この電話会談で、安倍首相は4月初旬にも訪米して大統領と会談し、北朝鮮への対応を協議するとともに、改めて拉致問題の解決についても協力を求めていくことで一致したという。

 

 北朝鮮が核ミサイル開発を放棄することは考えにくく、真意がどこにあるのかは不明だが、当面は米国との軍事衝突という最悪のシナリオが回避されたと見るべきなのだろうか?

 

 とはいえ、ここで問題にしたいのは、「金正恩委員長が非核化にコミットした」という部分。菅官房長官をはじめ、外務省の発表でも同じ表現が使われているし、韓国大統領府の公式発表でも英語で「Kim Jong Un said he is committed to denuclearization」と説明されているので文言としては間違いないが、官房長官の口から「コミットした」なんて言葉を聞くと、「結果にコミットした」のフレーズでおなじみの某ダイエットジムの宣伝を思い出してムズムズするのは筆者だけではないだろう。

 

 英語の「commitment」に由来する和製英語であるコミットは、本来は、「義務を伴う約束」とか「誓約」「かかわりあい」を意味し、プロミス(約束)よりもずっと責任が重く、あまり軽々しく使う言葉ではない。しかしこれが、ビジネスシーンになると、多少ニュアンスが変わり、グッとくだけた意味合いに変わる。

 

 官房長官や外務省は、もちろん前者の意味合いで使っていると思われるが、できれば政府高官として、国民に伝わりやすい言葉を選んでほしかったところ。

 

 その点、トランプ大統領との電話会談を終えた安倍首相はさすがだった。首相官邸で行った会見では「北朝鮮が非核化を前提に話合いを始める、そう北朝鮮の側から申し出たこと、この北朝鮮の変化を評価いたします」と簡潔な日本語で話している。

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