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エイリアンじゃなかった!トンガリ頭の15cmミイラをゲノム解析 米研究

 南米チリのアタカマ砂漠で2003年に発見されたとんがった頭蓋骨を持つミイラについて、米スタンフォード大学などの研究チームは22日、ゲノム解析の結果、「骨格形成異常の胎児」とする論文を発表した。ミイラはその特異な風貌から、「エイリアン」だと根強く信じる人たちがいた。

 

 3月22日付の米科学誌『ゲノム・リサーチ(Genome Research)』に掲載されたスタンフォード大学やメキシコ国立自治大学などの論文によると、このミイラは2003年、チリのアンデス山脈と太平洋にはさまれたアタカマ砂漠の鉱山の町で発見。

 

 頭から足の先までの長さは約15センチと、妊娠22週の胎児並みで、肋骨は通常の12組より少ない10組しかないことから、発見当初は未確認の霊長類や、地球外生命体ではないかとの憶測を呼んだ。

 

 研究チームには骨格に重度の変形がある6〜8歳児のミイラだと考える研究者もいたが、2013年の分析で、頭蓋骨の縫合具合から骨年齢は40歳前後に達していると判明し、研究者はますます混乱に陥った。

 

  スタンフォード大学で微生物学と免疫学を研究するギャリー・ノーラン教授は今回、遺伝子と骨の発達面に着目。肋骨からDNAを取り出して解析した結果、地球外生命体の証拠を示す遺伝子は見つからなかった代わりに、7つの遺伝子で突然変異が起こり、肋骨の発生異常や頭蓋骨の奇形のほか、骨の発育形成を阻害する先天性の病気にかかっていたことが判明した。

 

 以前の調査で骨年齢が40歳前後だと推測されたのも、遺伝的変異の結果、成長障害を引き起こしていた可能性があるという。

 

 中米メキシコでは1999年、1000年前の共同墓地から13体の細長い頭蓋骨を持った人間の骨が見つかっているが、これについてもヒスパニックの古代社会にみられた、頭蓋骨をわざと変形させる文化に由来するとされている。また中世ヨーロッパのバイエルン地方でも、1500年前の墓から、異常に長い頭蓋骨を持った女性の骨が14体見つかっているが、これもまた当時の文化の影響を受けたものだと結論付けられている。

 

 ノーラン教授は、アタカマ砂漠で見つかった骨は「出産前に死亡した女の子の胎児」だとみて、「アタ」と命名。今回の成果が、骨の発育形成に問題を引き起こす遺伝疾患の研究に役立つものと期待している。

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