感染症

6億人の大腸にいる寄生虫だって腸内細菌がいる 英研究

 世界中の約6億4700万人が感染していると考えられている寄生虫について、英国の研究グループは、人間の大腸に感染する鞭毛(べんもう)虫という寄生虫にも腸内細菌がいることを発見した。「一寸の虫にも五分の魂」ということわざがあるが、この場合、「一寸の寄生虫にも大腸菌」だろうか?

 

 鞭毛虫とは、文字通り「鞭(ムチ)」のような細長い形をしていて、赤道直下の熱帯諸国や発展途上国では子供の4人に1人が感染しているといわれる。感染者が茂みや庭先などで排泄したり、便を肥料などに使うことで、寄生虫の卵が土壌に蓄積され、そこで作られた野菜や果物、汚れた手や指から感染する。

 

 寄生虫の数が少ないと症状が出ない場合もあるが、重症化すると下痢や血便、体力低下、体重減少などのほか、直腸が肛門の外に脱出するケースもある。子供が感染すると重度の貧血になり、成長遅延につながる場合もあり、ワクチンや治療薬の開発が急がれている。

 

 英マンチェスター大学のリチャード・グレンシス教授とイアン・ロバーツ教授のグループは、長さ2センチほどの「鞭毛虫(Trichuris trichiura)」自身の腸にも、微生物が生息していることを発見。

 

 鞭毛虫の腸内細菌は、宿主である人間の腸内細菌とはまったく異なる種類のものだが、人間の腸内細菌と同様に、鞭毛虫の健康を維持する役割を担っているという。腸内細菌がいない鞭毛虫は、寄生する人間の大腸内で増殖できなくなるため、寄生虫の腸内細菌をターゲットにした薬を開発することで、感染症の撲滅に結びつく可能性があると期待されている。

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