医療技術

止まらない鼻水 花粉症だと思ったら「脳液が漏れていた!」米国

 

 スギ・ヒノキの花粉シーズンもほとんどの地域で終了したが、米国中部ネブラスカ州では、1年中ティッシュペーパーを手放せない女性がいた。病院はこの患者に対し、「鼻水ではなく、脳から髄液が漏れている」とショッキングな診断を下した。

 

 この患者はケンドラ・ジャクソンさん。ネブラスカ大学病院によると、ケンドラさんは2013年に追突事故に遭って、乗っていた車のダッシュボードに顔を激しく打ち付けるケガをした数年後、咳やくしゃみ、鼻水が止まらなくなった。

 

 当初、医者はアレルギーが原因だと診断したが、鼻水は1年中、滝のように流れ出し、そのうちひどい頭痛や睡眠障害にも悩まされるようになったことから、大学病院を受診。耳鼻科医のクリスティーン・バーンズ医師と脳神経外科医のダン・サーデル医師から突きつけられたのは、「脳から1日あたり237mlの液体が漏れ出している」というショッキングな診断だった。

 

 専門家によると、脳脊髄(せきずい)液は、脳を衝撃から守るクッションの役目と、脳内の老廃物を取り除く役割を果たしており、毎日500mlほど産出される。しかし、交通事故やスポーツの衝撃などで髄液が漏れ出すと、めまいや頭痛、全身の倦怠感などの症状を引き起こす場合がある。

 

 いわゆる「むち打ち症」と脳脊髄液減少症の関係性は古くから知られていたが、診断が難しく、日本国内では厚生労働省が2007年に診断法と治療法の確立を目指す研究班を立ち上げ、2012年に画像による判定基準が公表されている。

 

 米国のケースでは、ケンドラさんの頭蓋骨と鼻孔の間に非常に小さな穴が見つかり、患者自身の脂肪組織を利用して、この穴をふさぐ手術に成功した。以前であれば髄液の流出部分を探すために開頭手術を行う必要があったが、技術の進歩によってより安全な治療ができるようになった。

 

 「あのまま鼻水が止まらなければ、深刻な感染症や、場合によっては幻覚などの精神症状に苦しんでいたかもしれません」と医療チームはいう。

 

 まだ病名が広まっていない「脳脊髄液減少症」。日本では国際医療福祉大学の篠永正道脳神経外科教授が2000 年、患者本人から採取した血液を使う「ブラッドパッチ治療」という技術が有効だと報告して、2016年4月に保険適用が認められた。

 あなたにオススメの記事